おふろのうた

おふろのうた

1985年4月、NHKの『みんなのうた』で放送された「おふろのうた」は、日本の子供向け番組でも人気を博した楽曲です。この曲は、作詞家の秋元康と作曲家の市川都によって生み出されました。その内容は、主人公がさまざまな理由を付けてお風呂に入りたくないと主張する様子を描いており、いわば子供の心情をそのまま表現しています。

歌の背景と制作意図

秋元康は、この曲に込めた思いについて、「子供がお風呂が嫌いなことを一生懸命に言い訳する歌を作りたい」と語っています。放送後、この歌は子供たちに共感を呼び起こしましたが、同時に多くの親たちからの苦情も引き寄せる結果となりました。具体的には、子供がこの楽曲の影響でお風呂嫌いになってしまうのではないかという懸念から、特に父母や風呂屋からの電話が相次ぎました。この反響は、同じく『みんなのうた』で放送された「おふろやさんへつれてって」とは非常に対照的でした。

歌手とレコードリリース

歌を担当したのは、小学2年生の五百木佑野で、当時東京放送児童合唱団に在籍していました。彼は「本当はおふろが大好きなのに」とこの曲を歌うことで、逆の立場にいる子供たちの気持ちを表現していました。

「おふろのうた」は、もともと1984年に秋元が考案した「2歳児が歌う演歌」と併せてリリースされる予定でしたが、このレコード企画自体が消滅した後、『みんなのうた』に採用されることになりました。1985年7月21日には、キャニオン版としてシングルが両面ジャケット仕様で発売されました。曲の収録内容は以下のようになっています。

• - おふろのうた

作詞：秋元康、作曲：市川都、歌：五百木佑野（東京放送児童合唱団）

• - 草原情歌

作詞：王洛賓、訳詞：青山梓、劉俊南、作曲：王洛賓、歌：馮智英

この曲は、その後も様々なレコード会社から異なるバージョンがリリースされました。テイチク版、CBSソニー版、フォーライフ版、日本コロムビア版と、いずれも1985年の同じ時期に発売されるなど、多くのアーティストがこの楽曲をカバーしています。特に、パパの気持ちを歌った「パパのうた」は、おふろのうたと同じメロディで大人の心情を描いたアンサーソングとして注目されました。

収録アルバムと評価

1985年には「おふろのうた」が収録されたアルバムもリリースされ、その中には「NHKみんなのうた大全集 恋するニワトリ～おふろのうた」が含まれています。この作品は、日本の音楽史の中でも子供向けでは特に記憶に残る楽曲の一つとして評価されています。「おふろのうた」は、子供たちと大人の双方に共感を与え、心に響くメッセージが込められた楽曲として、多くの人に親しまれ続けています。

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