おもしろ漢字ミニ字典

「おもしろ漢字ミニ字典」は、1984年から1989年にかけてNHKで放送された5分間の教育番組です。番組タイトルにある通り、単なる「辞典」ではなく、漢字の成り立ちや意味を深く掘り下げる「字典」として、字義に焦点を当てた解説が特徴です。

番組は、NHK教育テレビの日中や、総合テレビの毎週火曜20時45分から20時50分にも放送されていました。最盛期には27%という高い視聴率を記録するなど、多くの視聴者に支持されました。

番組の核となるのは、藤堂明保氏が提唱した、漢字の声符が単に読みを表すだけでなく、意味にも関連するという説です。この説に基づき、漢字の9割以上を占める形声文字の声符をテーマに、毎回1つの漢字を深く掘り下げて解説しました。コンピュータグラフィックスを駆使したアニメーションで、漢字の成り立ちを視覚的に分かりやすく説明しました。

例えば、「主は動かず」という回では、燭台の象形である「主」という文字が「じっとしている」という意味を持ち、そこから「あるじ」という意味が派生したと解説しました。さらに、「柱」「住」「注」「駐」といった漢字も「主」が持つ「ひとところに留まっている」という意味を受け継いでいると説明しました。

番組の最後は、取り上げた漢字をまとめた後、「おもしろ漢字ミニ字典、（各回のサブタイトル）これにて！（拍子木の音）」という独特な締めくくりで終わります。画面には「漢字のはじまり…それは名もなき奴隷や狩人の無心の線画だった　藤堂明保」や「漢字　豊かなイメージと知恵の結晶」といったテロップが表示され、通常の番組に見られる「ENDマーク」は表示されません。

番組のナレーションは、初代江戸家小猫（後の四代目江戸家猫八）が担当しました。初代小猫の妹である江戸家まねき猫も出演していました。

番組制作は、グループ創結というチームが担当しました。このチームは、中国の伝承で文字を作ったとされる蒼頡と「創るグループ（結）」を掛けた名称です。メンバーの中心は、放送作家の長崎武昭氏（1940年 - ）、柴田道弘氏（1948年 - ）、そしてNHKディレクターの山岸嵩氏（1935年 - ）でした。

番組関連書籍として、グループ創結編著、竹田晃監修、加藤晃漫画による『NHK おもしろ漢字ミニ字典』（まんがミニじてんシリーズ）が童音社から出版されました。また、長崎、柴田、山岸共著の『NHKおもしろ漢字ミニ字典-楽しみながら漢字が身につく』（リヨンLブックス）がリヨン社から1988年に出版されました。

ビデオソフトはポニーキャニオンからVHSが発売された他、NHKアーカイブスや各地のNHK放送局で見ることが可能です。また、図書館や生涯学習センターなどにも教材として所蔵されている場合があります。

番組は、漢字の奥深い世界を、分かりやすく、かつ面白く伝えた教育番組として、多くの人々に記憶されています。

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