おーい!わが家

『おーい!わが家』は、1967年4月1日から6月24日まで、フジテレビ系列で毎週土曜日20時に放送されたテレビドラマです。8代目松本幸四郎一家5人が初めて揃って主演を務めた、大型ファミリードラマとして注目を集めました。

このドラマは、松本幸四郎一家をモデルに、ごく一般的な家庭の日常を描いています。豪華なセットや派手な演出はありません。むしろ、何気ない日常の出来事をコミカルに、そして温かく表現することに重きが置かれていました。そのため、視聴者はまるで自分の家族を見ているかのような感覚に陥り、共感を深めたことでしょう。

物語の中心となるのは、高岡四郎を筆頭とする5人家族です。父の高岡四郎は、8代目松本幸四郎が演じ、実生活と同様に一家をまとめる存在として描かれています。母の高岡志保子役には藤間正子、長男の高岡五郎役には6代目市川染五郎(後の2代目松本白鸚)、次男の高岡吉男役には2代目中村吉右衛門、長女の高岡れい子役には藤間麗子がそれぞれキャスティングされました。出演者たちの名前は、実名をもじったものとなっています。

ドラマの内容は、家族間の些細な喧嘩や、仕事や学校での出来事など、ありふれた日常の出来事が中心でした。しかし、その中にこそ、家族の温かさや絆、そして成長が描かれていました。例えば、父親の仕事での苦労や、子供たちの学校での出来事を通して、家族それぞれの葛藤や喜びがリアルに表現され、多くの視聴者の共感を呼びました。

また、このドラマは、スポンサーの面でも大きな転換期を迎えた作品として知られています。それまでの『のれん繁昌記』までは大正製薬が単独でスポンサーを務めていましたが、『おーい!わが家』からはサントリーと花王石鹸(現・花王)の二社提供となりました。特に花王は、その後2000年9月までこの時間枠の筆頭スポンサーを務めるなど、このドラマをきっかけに長年に渡る関係を築くことになります。サントリーも『二人の素浪人』までスポンサーを務め、この時間枠に長く関わりました。

『おーい!わが家』は、高度経済成長期真っ只中の日本社会において、家族の温かさや絆を改めて認識させるきっかけとなった作品と言えるでしょう。豪華な演出や複雑なストーリー展開はありませんでしたが、そのシンプルながらも奥深い人間ドラマが、多くの視聴者の心に深く刻まれたことは間違いありません。それは、出演者たちの自然体な演技と、脚本の巧みさ、そしてスポンサー企業の長期的な支援があったからこそ成し得た成果と言えるでしょう。昭和の時代を代表するホームドラマとして、『おーい!わが家』は今もなお、多くの人々の記憶の中に生き続けています。宮田達男による原作、古岡哲雄による演出、そしてフジテレビの制作体制が、この名作ドラマを生み出したのです。

もう一度検索