おーぷん2ちゃんねる

オープン2ちゃんねる：2ちゃんねるを継承し、独自の進化を遂げた電子掲示板

2012年6月7日に開設された「おーぷん2ちゃんねる」は、日本の電子掲示板です。ITエンジニアの矢野さとる氏によって開発・運営されており、その名の通り、かつて人気を博した2ちゃんねるを模倣したシステムを採用しています。しかし、単なる模倣にとどまらず、2ちゃんねるにはない独自の機能や歴史的経緯によって、独自の進化を遂げています。

開設の経緯：2ちゃんねるの転載問題とアフィリエイトブログ

おーぷん2ちゃんねるの誕生は、2ちゃんねるの転載に関する騒動と密接に関係しています。2012年、2ちゃんねるからの転載を主なコンテンツとするアフィリエイトブログが、デマ情報拡散などの問題を引き起こしました。これを受け、2ちゃんねる運営側は一部のアフィリエイトブログへの転載禁止を決定。この事態は大きな話題となりました。

この状況を受け、風刺ニュースサイト「虚構新聞」が、転載自由な匿名掲示板を題材にした記事を掲載しました。この記事にインスパイアされた矢野氏は、ジョーク半分で転載自由な掲示板を制作。それがおーぷん2ちゃんねるです。

当初は話題性から一定の盛り上がりを見せましたが、2ちゃんねるの転載問題が落ち着くと、多くのユーザーは元の2ちゃんねるへと戻っていきました。その後、おーぷん2ちゃんねるは比較的ユーザーの少ない状態が続きました。しかし、この期間に矢野氏は、掲示板に独自の機能を追加し続けました。

利用者の増加：転載禁止騒動と避難場所としての役割

2014年2月まで、おーぷん2ちゃんねるの1日あたりの投稿数は1000件に満たない日がほとんどでした。しかし、同年3月、2ちゃんねるで新たな大規模な転載禁止騒動が起こると、状況が一変します。

コンテンツ不足に陥った一部のアフィリエイトブログが、新たな転載先としておーぷん2ちゃんねるを利用し始めました。それに伴い、アフィリエイトブログのユーザーや、2ちゃんねるからの避難者、そして荒らし行為に嫌気がさしたユーザーなどが流入。投稿数は急増し、3月5日には2万件、7日には5万件を記録するまでになりました。

その後、旧2ちゃんねる運営陣が転載可能な掲示板「2ch.sc」を立ち上げると、アフィリエイトブログの多くはそちらに移行し、騒動は収束に向かいました。おーぷん2ちゃんねるの投稿数も減少しましたが、特定の板では一定数のユーザーが定着しました。そして2021年現在では、騒動時よりもさらに多くのユーザーが利用しており、1日に1万ID程度のユーザーが活動しています。

掲示板システム：2ちゃんねる互換性と独自機能

2021年3月時点で、おーぷん2ちゃんねるは約780個の板が存在し、各板には50ほどのスレッドが表示されます。基本的なシステムは2ちゃんねるを踏襲していますが、いくつかの独自の機能が搭載されています。

スレッドの書き込み数制限： 2ちゃんねるではスレッドあたりの書き込み数が1000に制限されていますが、おーぷん2ちゃんねるではスレ主のみ1000以上（最大1005）の書き込みが可能です。
dat落ち： スレッドが一覧から消えても書き込み自体は可能ですが、一定期間書き込みがないと強制的に「sage」になり、さらに時間が経過すると「dat落ち」となります。
ID： 開設当初は2ちゃんねると同じ8桁のIDでしたが、その後3桁、そして4桁へと短縮されました。
書き込み機能： 別画面を経由せず、直接書き込みが可能です。書き込み時には効果音が鳴り、絵文字や絵を描くなどの機能もボタンで簡単に利用できます。スレ主は特定のレス番号を書き込み不能にするコマンドも使用可能です。
おーぷぬ： ユーザーが自由に板を作成できる機能です。一定の条件を満たす必要があります。
規制： 2ちゃんねるとは異なり、一部のNGワードは警告なく書き込みを不可能にします。基本的には日付をまたぐことで解除されます。悪質な行為を行ったユーザーはアクセス禁止となります。

他の掲示板との関係

おーぷん2ちゃんねるは、「5ちゃんねる（旧2ちゃんねる）」の管理人であるジム・ワトキンス氏とはメールで意見交換を行っており、黙認されている状態です。一方、元2ちゃんねる管理人である西村博之氏からは開設の許可を得ており、西村氏が運営する「2ch.sc」とも協力関係にあります。

主な板

おーぷん2ちゃんねるには様々な板が存在しますが、特に活気のある板として以下が挙げられます。

なんでも実況(ジュピター)＠おーぷん２ちゃんねる（略称：おんJ）
おんJゲーム部＠おーぷん２ちゃんねる
おんJアニメ部＠おーぷん２ちゃんねる
ニュー速VIP＠おーぷん２ちゃんねる
ブラウザゲーム＠おーぷん２ちゃんねる
お絵描きVIP＠おーぷん２ちゃんねる

忍法帖

開設当初から存在する「忍法帖」システムは、レス数を重ねることでレベルが上がり、利用可能な機能が増えていくシステムです。

おーぷん2ちゃんねるは、2ちゃんねるを模倣したシステムをベースとしながらも、独自機能やユーザーコミュニティによって独自の進化を遂げ、現在も運営が続けられている、日本のインターネット文化を象徴する電子掲示板の一つと言えるでしょう。

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