お笑い世論調査

1967年5月5日から1968年3月にかけて、毎週、フジテレビ系列のチャンネルを通じて全国に届けられた『お笑い世論調査』は、当時の日本のテレビ番組としては珍しい、討論形式を取り入れたユニークなバラエティ番組として注目を集めました。フジテレビ自らが制作を手掛けたこの番組は、そのタイトルが示す通り、世の中の様々な事柄について「世論」、特に当時の家庭の中心であった主婦層の意見を重視した点に特徴があります。

この番組では、主婦たちが日々の生活の中で疑問に思ったり、あるいは関心を持ったりしている問題、例えば教育問題、消費生活、社会的な出来事など、幅広いテーマを毎回一つ取り上げました。そして、スタジオに集まった出演者である落語家や文化人などがパネリストとして専門的な見地やユーモアを交えながら意見を述べ、さらに重要な役割を担ったのが、事前に公募などで選ばれた一般視聴者を代表する10名の主婦たちでした。彼女たちはパネリストたちの意見を聞くだけでなく、自らの経験や考えに基づいた率直な意見や疑問をぶつけ、時にはパネリストを相手に果敢に反論するなど、活発な議論を展開しました。このように、プロの出演者と一般視聴者代表が、身近な問題から社会的な事柄まで、幅広いテーマについて賛否を論じ合うことで、多様な視点や本音が引き出され、視聴者にとっても考えさせられる内容となっていた点が特徴です。公開番組として制作され、スタジオでの議論の熱気がそのまま届けられました。

番組は、当時多くの公開番組や演芸番組の収録に使われていた、東京・有楽町に位置する蚕糸会館の6階にあった「東京ヴィデオ・ホール」から生放送で行われていました。公開形式と生放送を組み合わせることで、予測不能な展開や、その場ならではの臨場感が生まれ、番組に活気を与えていました。このスタイルは、前番組にあたる『お笑いタッグマッチ』から引き継がれており、当時のフジテレビのお昼の顔となる公開バラエティ番組としての特色を強く打ち出していました。

放送開始当初の1967年5月5日から同年9月までは、毎週金曜日の12時15分から12時45分までの30分枠で放送されていました。その後、同年10月からは放送曜日が変更となり、最終回を迎える1968年3月までは、毎週土曜日の同時刻、つまり12時15分から12時45分までの放送となりました。曜日が変わっても、お昼の短い時間帯に、社会的なテーマについて楽しく、時に真剣に考える機会を提供する番組として継続されました。

番組の進行役である司会は、ユーモラスな語り口で知られる落語家の春風亭柳昇師匠が担当されました。議論の展開をリードし、番組にエンターテインメント性を加える弁士としては、三遊亭右女助師匠、三遊亭小圓馬師匠、桂伸治師匠、春風亭柳好師匠といった、当時の人気落語家が出演しました。また、来場した主婦たちに巧みに問いかけ、視聴者の共感を呼ぶような意見を引き出すインタビュアーとして、四代目三遊亭金馬師匠や月の家圓鏡師匠（後の八代目橘家圓蔵師匠）が登場し、番組を盛り上げました。

特に、司会の春風亭柳昇師匠に加え、弁士の三遊亭小圓馬師匠、桂伸治師匠、春風亭柳好師匠の4名は、前番組『お笑いタッグマッチ』から引き続き本番組にもレギュラー出演しており、番組のカラーや雰囲気をスムーズに引き継ぐ上で重要な役割を果たしました。

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