お茶の水貝塚

お茶の水貝塚

お茶の水貝塚は、東京都文京区湯島、現在の東京医科歯科大学キャンパスおよびその周辺に位置する貝塚です。縄文時代前期から晩期にかけての土器が発見されており、人々の生活の痕跡を今に伝えています。

概要

東京医科歯科大学キャンパス付近の地層からは、古くから貝殻や土器片が見つかっていました。1952年（昭和27年）の地下鉄丸ノ内線工事の際には、多数の縄文土器片や人骨が発見され、2002年（平成14年）の調査では縄文時代の住居跡も確認されています。この地は江戸時代には湯島馬場大筒鋳立場や幕府役人の住居が立ち並び、縄文時代の遺構と江戸時代の遺構が同じ場所から見つかるという、複合遺跡としての特徴を持っています。

所在地

貝塚は、縄文時代には本郷台地の先端にある小半島に位置し、縄文海進によって広がっていた古東京湾に面していました。貝塚のすぐ南には神田川が流れていますが、このあたりは江戸時代初期に人工的に開削されたものです。現在の標高は約15メートルですが、縄文時代には海面が高く、貝塚のすぐ近くまで海が迫っていたと考えられています。遺跡は、地下鉄御茶ノ水駅から東京医科歯科大学キャンパスの北西側、三楽病院若葉寮にかけて広がっています。

名称

「お茶の水貝塚」の他に、湯島貝塚、お茶の水女高師内貝塚、お茶の水東京医科歯科大学内貝塚などの別名があります。貝塚は文京区No.38遺跡として、同じ場所に重なる江戸時代の遺構は文京区No.39遺跡として登録されています。

調査の経過

貝殻や土器片の発見は古くから知られており、1891年（明治24年）のお茶の水橋建設の際にも採取されています。本格的な調査は、1934年（昭和9年）の医科歯科大学本館工事、1952年の地下鉄丸ノ内線御茶ノ水駅建設工事、1953年の医科歯科大学増設工事などで行われました。2002年の調査では、縄文前期の住居跡が2軒発見されています。

縄文時代の遺物

1995年（平成7年）の時点で、貝塚は環状に7箇所確認されています。出土した貝殻は、ハマグリが最も多く、次いでサルボウ貝、ハイガイなどとなっています。その他、ニホンジカやキジ、鯛などの動物遺骨も発見されています。石器の出土はわずかです。

人骨の脛骨断面は、現代日本人よりも現代アイヌ人に近い特徴を示しています。また、縄文土器の破片も多数見つかっており、縄文前期の関山式や黒浜式、諸磯式、縄文中期の阿玉台式、加曾利E式、縄文後期の堀之内式、加曾利B式、曽谷式、安行式など、幅広い時代の土器が出土しています。特に、縄文後期から晩期の土器が多く、この時代に最も繁栄したと考えられています。

しかし、2002年の調査では、縄文前期の住居跡から黒浜式や釈迦堂Z3式などの土器が出土しており、本来のお茶の水貝塚を形成した集落とは別の集落が存在した可能性も指摘されています。

江戸時代の遺構

江戸時代には、この地に湯島馬場大筒鋳立場や幕府役人の住居が立ち並んでいました。寛永通宝や陶磁器、鉄滓、銃の発火装置などが出土しており、北西側からは小役人の住居跡や麹室跡などの地下構造物も発見されています。土木工事によって破壊されなければ、より多くの縄文時代の住居跡が見つかった可能性も考えられます。

参考文献

〇〇

関連項目

縄文時代の遺跡一覧
東京都の貝塚の一覧
日本の貝塚一覧
* 関東地方の史跡一覧

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