お血脈

お血脈（おけちみゃく）

「お血脈」は、古典落語の一演目であり、信濃国の善光寺を背景とした物語です。この演目は、罪人が極楽浄土に行くための特別な印判である「お血脈」を巡るストーリーが主なテーマとなっています。落語の中では、善光寺の由来や「お血脈」が持つ力について語られ、観客を楽しませる独特の魅力を持っています。

演目の背景

上方落語では、「骨寄せ」という別題で知られ、この名前は古くからの歌舞伎用語に由来しています。歌舞伎では死者の骨を集めてその命を蘇らせるという演出が行われ、その影響を受けて「お血脈」の物語が仕立てられました。正確には、昭和時代に2代目桂歌之助が演じたことによって、この演目が再び日の目を見ることとなったと言えます。

あらすじ

物語は、信濃国善光寺の由来を語ることで始まります。この寺には、どんな罪を犯した人でも「お血脈」という印を額に押すことで極楽浄土に導かれるという素晴らしい伝説が存在しました。この印の影響で、死者たちは次々と極楽へと旅立ち、地獄は不景気に陥ることになります。

これに困惑した閻魔大王は、鬼たちを集めて相談します。そこで彼は、善光寺から「お血脈」を盗み出す計画を立てるのです。地獄で名高い泥棒、石川五右衛門を召喚し、彼に盗みを依頼しました。五右衛門は「見事にやってみせましょう」と意気込むのですが、その様子は歌舞伎の演技のようにオーバーに描かれます。

五右衛門は、現世に蘇り、信濃の善光寺へ向かいます。そして、「お血脈」を収めた箱を探し出します。箱の中にはさらに別の箱があり、五右衛門はそれを開けていき、ついに「お血脈」を見つけることに成功します。喜びのあまり、彼は舞台からの影響を受けてしまい、印を額に押してしまいます。

その瞬間、五右衛門は自らも極楽へと導かれ、物語は幕を閉じることになります。この最後の展開は、聞き手に大きな笑いをもたらしながらも、やはりお血脈の不思議な力が強調される結果となります。

映画化されたお血脈

この演目は、映画としても何度か制作されています。1989年の映画『お血脈』や、2018年の作品『おけちみゃく』があります。特に、後者は閻魔大王が石川五右衛門を過去に蘇らせて、「おけちみゃく」を手に入れようとするストーリーを描いています。

上記のように、「お血脈」は日本の伝統的な物語の一つとして、落語の世界を彩る重要な演目となっています。落語を通して、観客は昔から伝えられる寺の伝説や罪、救いについて考える機会を得ることができます。

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