かっこうワルツ

かっこうワルツ：鳥のさえずりを思わせる旋律の調べ

ヨハン・エマヌエル・ヨナーソン作曲による『かっこうワルツ』（スウェーデン語: Gökvalsen）は、1913年に生まれた、優しくも印象的なワルツです。アンダンテのテンポで奏でられるこの曲は、約2～3分の短いながらも、聴く者の心に深く刻まれる魅力を持っています。

この曲の最大の特徴は、何と言ってもカッコウの鳴き声を思わせる旋律でしょう。E→Cの音の移行がカッコウの鳴き声を表現し、A音のトリルはさえずりを彷彿とさせます。鳥のさえずりを模したかのような軽やかで美しい音色は、聴く者の心を穏やかに癒やし、自然の息吹を感じさせてくれます。

『かっこうワルツ』は、スウェーデン国外でも広く親しまれてきました。1955年には、ヨナーソン自身の存命中にスウェーデン映画『青空』で使用され、さらに1920年代にはアメリカで流行を巻き起こしました。英語詞はアーサー・キングズリーによるものです。

日本における『かっこうワルツ』

日本では、この曲は初級ピアノの課題曲として広く知られています。その親しみやすさから、長年に渡り小学校の音楽教育の場で教材として用いられてきました。学習指導要領にも度々取り上げられ、1950～1970年代には他の有名クラシック楽曲と共に、小学校2年生の共通鑑賞教材として選ばれた時期もありました。

具体的には、1958年には「おどる人形」（エデ・ポルディーニ）、「トルコ行進曲」（ベートーヴェン）と、1968年には「トルコ行進曲」（ベートーヴェン）、「ユーモレスク」（ドヴォルザーク）と、そして1977年には「トルコ行進曲」（ベートーヴェン）、「メヌエット」（ヘンデル）と共に教材として採用されています。

しかし、1989年には教材としての採用は終了しました。その後も、その知名度は高く、平成12年度の小学校教員資格認定試験では、作曲者に関する問題が出題されるほどです。このことは、日本ではヨナーソンが『かっこうワルツ』によってのみ知られる作曲家であるにもかかわらず、文部科学省（当時文部省）が同曲をいかに重視していたかを示しています。

現在でも、多くの音楽愛好家やピアニストに親しまれ続けている『かっこうワルツ』。その短い演奏時間の中に凝縮された、鳥のさえずりを思わせる美しい旋律は、世代を超えて人々の心を捉え続けています。

その他

なお、この曲は、川口オートレース場と浜松オートレース場で、投票券締め切り前告知のBGMとして使用されているという、意外な側面も持っています。クラシック音楽とモータースポーツという、一見すると接点のなさそうな世界を繋いでいる点も、この曲の独特の魅力と言えるでしょう。

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