かっとび一斗

『かっとび一斗』と『風飛び一斗』の世界：熱血サッカー漫画の魅力

門馬もときによるサッカー漫画『かっとび一斗』、そしてその続編『風飛び一斗』は、型破りな主人公・香取一斗が少林拳を応用したプレースタイルで周囲を巻き込みながら、全国大会を目指す物語です。本記事では、この2作品の魅力を深掘りしていきます。

概要

1985年に連載が開始された『かっとび一斗』。主人公の一斗は、少林拳の使い手でありながら、ひょんなことからサッカー部に入部。幼なじみでライバルの由良和馬らと共に、常識にとらわれないプレースタイルでチームを勝利に導いていきます。物語は、一斗たち中学2年生から高校1年生までを描いています。

連載初期は、必殺技が頻繁に登場し、ルールや物理法則を無視したような描写が多く見られました。しかし、後期になるにつれて、フォーメーションや戦術といった、よりリアルなサッカー描写が増えていきます。とは言え、スポーツマンシップに反する行動や、ギャグ漫画のような要素も健在で、対戦校とのトラブルからの試合開始は、お約束の展開でした。

一斗の高校進学後には『風飛び一斗』とタイトルが変更され、20年以上にわたる連載が続きました。しかし、2007年に『月刊少年ジャンプ』が休刊となり、未完のまま打ち切りという形で連載は終了。最終回では、作者が完結に向けた構想を抱いていたことが明かされましたが、無理な完結を避けるため、未完のまま物語は幕を閉じたのです。

登場人物

私立清雅学園

一斗が入部する以前は弱小チームでしたが、ある乱闘事件をきっかけに生まれ変わります。チームには、キャプテンの由良和馬、冷静なGK宗近真、不良ながらも実力者の平木涼など、個性的なメンバーが揃っています。

香取 一斗（かとり いっと）

本作の主人公。好奇心旺盛で喧嘩っ早く、騒動を巻き起こすトラブルメーカー。カンフーが得意で、それをサッカーに応用したプレースタイルが特徴です。抜群の運動神経と決定力を持ちますが、ルールを覚えるのは苦手。口癖は「ちょんわ!」。
由良 和馬（ゆら かずま）

清雅学園サッカー部のキャプテンで、チームのエースストライカー。冷静な判断力と熱い心を併せ持ち、チームを牽引します。一斗とは幼なじみであり、ライバル。得意技は、数人のDFを吹き飛ばす「ブルドーザーチャージ」。
宗近 真（むねちか まこと）

GKで、和馬の親友。理知的で落ち着いた性格で、一斗と和馬の仲裁役。冷静な判断力と高いセーブ技術でゴールを守ります。双子の兄は、崇永学園の宗近暁。
平木 涼（ひらき りょう）

DF。かつて「ナイフの平木」と呼ばれた不良でしたが、サッカーの実力は一流。DFラインを統率し、一斗、和馬と共にチームを支えます。過去の怪我の経験から、一度はサッカーから離れていましたが、一斗たちの姿を見て復帰。

崇永学園

静岡県にあるサッカーの名門校。中等部から大学まで一貫した指導体制を敷き、全国から優秀な選手が集まります。清雅学園とは、練習試合や全国大会で幾度となく対戦。

宗近 暁（むねちか あきら）

MF。宗近真の双子の兄であり、和馬の親友。ドリブル、パス、ディフェンス、洞察力全てにおいて一流で、中学生時代から常に大会No.1選手と目されていました。必殺技は「ライジングシュート」。
武市 忠（たけち ただし）

GK。暁を「キャプテン」と呼び、敬意を払う。至近距離からの一斗のシュートをクリアし、全国大会二連覇を達成。
城之内 健（じょうのうち けん）

MF。秒の殺し屋と呼ばれるスーパープレイヤー。トリッキーな動きができるテクニシャン。一斗のセオリーを無視したプレーにも対応できる。

西東京内の学校

大泉北中

大吹政五郎が率いるチーム。一斗達が2・3年時の西東京大会の1回戦で対戦。相撲部から久縞貫士を招き対抗するも敗北。
外豪学園

里美伊緒が所属する金持ち学校。一斗達とは西東京予選で度々対戦。
明哲中

沖野聡が率いるチーム。過去に平木が選手生命を絶つ怪我を負わせた因縁がある。
東亜大付属中

似内雅門、黒崎史郎が所属する強豪校。一斗達とは2年時の西東京予選の決勝戦で戦う。
統倫学園

片岡優二が所属するチーム。一斗が3年時の西東京予選2回戦で対戦。
西峰中

出口淘汰が率いるチーム。一斗達が3年時の西東京予選の準々決勝で対戦。
薬師神中

清雅学園とは3年時の準決勝で対戦。卑怯な手で相手を負傷させるプレイスタイル。

必殺技一覧

ローリング・キャッチ: 伊緒が得意とする、太極拳を応用した円形捕球。
ライジングシュート: 暁の必殺シュート。大きく踏み込むことで強力なシュートを放つ。
ダブルスピンシュート: 2人のキッカーが同時にシュートを放ち、破壊力を増す。
ドランキングショット: ソニー・グローバーが得意とする、ボールが不規則にぶれながら進むシュート。
ネオ・ドランキングショット: オーバーヘッドキックの形でドランキングショットを再現。
トルネードシュート: 甲斐邦彦が使用する、強烈なドライブ回転がかかった高速シュート。
アークシュート: 体を横に倒してボールを蹴ることで、高威力のシュートを放つ。
カッティングショット: 回転を利用して、バウンドで弾道が変化するシュート。
ダブルヘッディング: 中山兄弟が得意とする、2人でボールを挟んで打ち出すシュート。
無回転シュート: 和馬が使用する、ボールの回転を殺した状態で打ち出すシュート。

スポーツ漫画の枠を超えた魅力

『かっとび一斗』と『風飛び一斗』は、サッカー漫画でありながら、少林拳や必殺技といった要素を取り入れた、エンターテイメント性の高い作品です。個性的なキャラクターたちの織りなす人間ドラマや、スポーツマンシップに反する行動、ギャグ漫画のような要素も満載で、スポーツ漫画の枠を超えた魅力を放っています。

未完のまま終わってしまったことは残念ですが、その熱い物語は、今も多くのファンを魅了し続けています。

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