かなたかける

『かなたかける』は、高橋しんが手掛けた日本の漫画作品であり、駅伝を題材としています。この作品は、『週刊ビッグコミックスピリッツ』（小学館）にて2016年から2018年まで連載されました。

作者である高橋しんは、自身も箱根駅伝のランナーであった経験から、「自分はランナーである」という強い思いを持っていました。そのため、漫画家としてデビューした後も、駅伝を題材にした漫画を描くことには抵抗がありました。しかし、デビューから20年以上が経過し、その考えも徐々に変化。テレビで女子マラソンを見た際に、物語のシーンやセリフが自然と浮かんできたそうです。そして、デビュー26年目にして、初めて駅伝をテーマにした作品に挑戦することとなりました。

本作では、高橋自身のランナーとしての体感が細部にまで投影されており、走る際の爽快な風や、炎天下の熱といった感覚を読者が追体験できるように描かれています。スポーツ報知の甲斐毅彦は、「キャラクターが駆ける時のスピードや吹き抜けていく風の強さを読み手が追体験できるような作品」と評しています。

製作過程においては、ネーム作成から高橋によるペン入れまではデジタルツールであるComicStudioを使用し、アシスタントが描いたアナログの背景をデジタル合成するという手法が取られました。入稿は全てデジタルで行われています。

最終話が掲載された『週刊ビッグコミックスピリッツ』2018年40号では、2019年から大学駅伝を舞台にした新たな物語が始まることが告知されました。

あらすじ

物語は、駅伝の聖地である箱根の小学校に、主人公である少女・桜庭かなたが転校してくる場面から始まります。かなたは、目の前の道をどこまでも走り続けることが好きな少女です。最初は不思議な存在として周囲から距離を置かれていた彼女ですが、その純粋な思いは次第に仲間たちにも伝わっていきます。

物語は小学生駅伝編から中学駅伝編へと続きます。

主な登場人物

桜庭かなた：東京から箱根に転校してきた主人公の少女。走ることが大好きで、美しいフォームで走るものの、実はかなりの鈍足。負けず嫌いで、人の背中を追い抜くことに喜びを感じています。小学生駅伝では3区を走ります。
凪野はると：転校してきた「変人」であるかなたに興味を持ちます。小学生駅伝では4区を走ります。
菜穂：運動能力は高いものの、気が弱い性格です。小学生駅伝では1区を走ります。
陸：小学生駅伝では2区を走ります。
さな先生：かなたたちの担任教師。本名は宮城野さな。大学時代には、全日本大学女子駅伝で4年連続区間賞を獲得し、日本インカレ10000メートル競走でも優勝経験があります。その後、監督と喧嘩してクビになったという過去を持ちますが、本人は自主的に辞めたと主張しています。
向井出雲：かなた、はるととは別の小学校に通う選手で、全国クロスカントリーリレーで優勝経験もある実力者。かなたからは「メガネくん」と呼ばれています。小学生駅伝では4区を走ります。

書誌情報

『かなたかける』は、小学館のビッグコミックスレーベルから全10巻が刊行されています。各巻の発売日とISBNは以下の通りです。

1巻：2016年3月30日発売 ISBN 978-4-09-187584-6
2巻：2016年6月30日発売 ISBN 978-4-09-187635-5
3巻：2016年11月30日発売 ISBN 978-4-09-189240-9
4巻：2016年12月28日発売 ISBN 978-4-09-189263-8
5巻：2017年5月30日発売 ISBN 978-4-09-189557-8
6巻：2017年9月29日発売 ISBN 978-4-09-189646-9
7巻：2017年12月27日発売 ISBN 978-4-09-189704-6
8巻：2018年3月30日発売 ISBN 978-4-09-189815-9
9巻：2018年7月30日発売 ISBN 978-4-09-860047-2
10巻：2018年10月30日発売 ISBN 978-4-09-860118-9

関連項目

2017年1月6日に放映されたNHKのドキュメンタリー番組『ぼくらはマンガで強くなった〜SPORTS×MANGA〜』では、「仲間がいるから、“自分”を超えられる〜駅伝〜」というテーマで、『奈緒子』と共に本作が紹介されています。

外部リンク

* 作品詳細『かなたかける』 ビッグコミックスピリッツ公式サイト -スピネット-

この作品は、駅伝というスポーツを通して、登場人物たちの成長や友情を描いた、熱い青春物語と言えるでしょう。

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