かんしゃく玉のゆううつ
種村有菜氏による漫画短編集『かんしゃく玉のゆううつ』は、1998年に集英社より刊行された、作者にとって記念すべき初の短編集です。単行本としては、連載デビュー作『イ・オ・ン』に続いて2冊目にあたります。この作品集には、作者が『りぼん』本誌やその増刊号、『りぼんオリジナル』で発表した初期の短編の中から厳選された4編が収められており、種村有菜の創作の源流を知ることができる貴重な一冊と言えるでしょう。
本作に収録されているのは、表題作「かんしゃく玉のゆううつ」の他、「この恋はNONフィクション」、「雨の午後はロマンスのヒロイン」、「2番目の恋のかたち」の合計4作品です。単行本のおまけページによれば、一部作品にはイメージソングが設定されているとのことです。
本作の表題を冠する作品で、種村氏の3作目にあたります。1997年と1998年に『りぼん』および『りぼんオリジナル』に掲載されました。略称は「かん玉」。忍者をモチーフにした世界観で、忍者の血を引く女子高生・鰍が、一族に伝わる秘伝の武器「紅葉」を守りながら、憧れの茶道部部長に思いを寄せる日々を描きます。作中には続編も含まれています。イメージソングには、JUDY AND MARYの楽曲「そばかす」が挙げられています。
物語の中心となる主人公の山乃鰍は、長い髪を「紅葉」で結ぶくノ一の少女です。家事が苦手ながらおでんは作れるという一面も。幼い頃に両親を亡くしています。彼女の幼なじみである谷本勇我は、鰍に好意を抱いており、ある出来事を機に山乃家で忍術の修行を始めます。茶道部部長の藤崎隼人は、当初鰍の憧れの存在でしたが、後に秘伝の武器を狙う忍者であることが判明。事件解決後、彼は鰍に本気で惹かれるようになります。その他、鰍の友人である智香や仁美、隼人の妹などが登場します。
種村氏の4作目として、1997年の『りぼんびっくり大増刊号』に掲載された作品です。略称は「NONフィク」。イメージソングは特に設定されていません。金持ちのお嬢様である主人公・鷹瀬川果林が、友人の頼みで、友人の写真を使って文通していた相手と会うことになる、というユニークな設定の物語です。庶民的な食べ物に憧れる世間知らずで心優しい果林が、友人の代わりにデートに臨む中で予期せぬ展開を迎えます。
主な登場人物として、お嬢様でありながらあんみつやチーズケーキを要求する鷹瀬川果林、写真偽装を依頼した友人・赤松ユリ、ユリの文通相手である良野敦司、そして良野が送ってきた写真に写っていた茶竹良が登場します。また、作者の他作品にも登場する謎多きキャラクター、果林のボディーガードの一人である田吾作も姿を見せます。
本作集の中で2番目に発表された作品で、1996年10月に『りぼんオリジナル』に掲載されました。略称は「雨ロマ」。タイトルは、友人のCDタイトルをアレンジしたものが由来とされています。イメージソングには、広末涼子の「MajiでKoiする5秒前」とJITTERIN'JINNの「相合傘」が設定されています。高校生・相川みのりが、雨の日に傘を貸してくれた別の高校の男の子、高遠慎也に恋をする物語です。相合傘の幸せを再び味わいたくて、みのりは雨が降るたびにわざと傘を忘れるようになります。
主人公の相川みのりは高校2年生。以前は告白されるだけで恥ずかしがるほど純朴でしたが、高遠との出会いを機に積極的になります。高遠慎也も高校2年生で、クールに見えますが実はお人好し。恋愛に不信感を抱いていましたが、みのりと関わる中で変化していきます。また、みのりのクラスメイトで高遠の中学時代の同級生であるさゆりも登場します。高遠は読者アンケートで人気が高かったキャラクターであり、さゆりは他の種村作品の登場人物との関連性も示唆されています。
この作品集に収録されている中で、最も古い種村氏のデビュー作です。1996年6月、『りぼんオリジナル』に掲載されました。略称は「2恋（ツーこい）」。イメージソングは東京Qチャンネルの「素直なままで恋をしようよ」。作者の友人の実体験を基に描かれたとされています。親友の彼氏に密かに思いを寄せる主人公と、そんな彼女に一途にアプローチする後輩男子、そして主人公の親友とその彼氏という四人の関係が描かれる、甘酸っぱいラブストーリーです。
主人公の山口真魚は調理部所属でアップルパイ作りが得意。一方、彼女に猛烈にアタックする後輩の中村成伸（通称しーちゃん）は、ナンパもする軽薄なタイプに見えます。真魚の親友である結女も調理部員で、自身の恋愛に悩みを抱えています。そして、真魚が憧れる結女の彼氏・西川が登場し、物語を動かしていきます。
『かんしゃく玉のゆううつ』は、種村有菜氏の作家としての原点とも言える作品群であり、その後の活動に繋がる様々な作風やキャラクターの原型を見出すことができます。当時の『りぼん』本誌や増刊号で読者に届けられた、多様な「恋のかたち」を描いた初期短編がまとめて読める、ファンにとっては欠かせない作品集です。
本作に収録されているのは、表題作「かんしゃく玉のゆううつ」の他、「この恋はNONフィクション」、「雨の午後はロマンスのヒロイン」、「2番目の恋のかたち」の合計4作品です。単行本のおまけページによれば、一部作品にはイメージソングが設定されているとのことです。
かんしゃく玉のゆううつ
本作の表題を冠する作品で、種村氏の3作目にあたります。1997年と1998年に『りぼん』および『りぼんオリジナル』に掲載されました。略称は「かん玉」。忍者をモチーフにした世界観で、忍者の血を引く女子高生・鰍が、一族に伝わる秘伝の武器「紅葉」を守りながら、憧れの茶道部部長に思いを寄せる日々を描きます。作中には続編も含まれています。イメージソングには、JUDY AND MARYの楽曲「そばかす」が挙げられています。
物語の中心となる主人公の山乃鰍は、長い髪を「紅葉」で結ぶくノ一の少女です。家事が苦手ながらおでんは作れるという一面も。幼い頃に両親を亡くしています。彼女の幼なじみである谷本勇我は、鰍に好意を抱いており、ある出来事を機に山乃家で忍術の修行を始めます。茶道部部長の藤崎隼人は、当初鰍の憧れの存在でしたが、後に秘伝の武器を狙う忍者であることが判明。事件解決後、彼は鰍に本気で惹かれるようになります。その他、鰍の友人である智香や仁美、隼人の妹などが登場します。
この恋はNONフィクション
種村氏の4作目として、1997年の『りぼんびっくり大増刊号』に掲載された作品です。略称は「NONフィク」。イメージソングは特に設定されていません。金持ちのお嬢様である主人公・鷹瀬川果林が、友人の頼みで、友人の写真を使って文通していた相手と会うことになる、というユニークな設定の物語です。庶民的な食べ物に憧れる世間知らずで心優しい果林が、友人の代わりにデートに臨む中で予期せぬ展開を迎えます。
主な登場人物として、お嬢様でありながらあんみつやチーズケーキを要求する鷹瀬川果林、写真偽装を依頼した友人・赤松ユリ、ユリの文通相手である良野敦司、そして良野が送ってきた写真に写っていた茶竹良が登場します。また、作者の他作品にも登場する謎多きキャラクター、果林のボディーガードの一人である田吾作も姿を見せます。
雨の午後はロマンスのヒロイン
本作集の中で2番目に発表された作品で、1996年10月に『りぼんオリジナル』に掲載されました。略称は「雨ロマ」。タイトルは、友人のCDタイトルをアレンジしたものが由来とされています。イメージソングには、広末涼子の「MajiでKoiする5秒前」とJITTERIN'JINNの「相合傘」が設定されています。高校生・相川みのりが、雨の日に傘を貸してくれた別の高校の男の子、高遠慎也に恋をする物語です。相合傘の幸せを再び味わいたくて、みのりは雨が降るたびにわざと傘を忘れるようになります。
主人公の相川みのりは高校2年生。以前は告白されるだけで恥ずかしがるほど純朴でしたが、高遠との出会いを機に積極的になります。高遠慎也も高校2年生で、クールに見えますが実はお人好し。恋愛に不信感を抱いていましたが、みのりと関わる中で変化していきます。また、みのりのクラスメイトで高遠の中学時代の同級生であるさゆりも登場します。高遠は読者アンケートで人気が高かったキャラクターであり、さゆりは他の種村作品の登場人物との関連性も示唆されています。
2番目の恋のかたち
この作品集に収録されている中で、最も古い種村氏のデビュー作です。1996年6月、『りぼんオリジナル』に掲載されました。略称は「2恋（ツーこい）」。イメージソングは東京Qチャンネルの「素直なままで恋をしようよ」。作者の友人の実体験を基に描かれたとされています。親友の彼氏に密かに思いを寄せる主人公と、そんな彼女に一途にアプローチする後輩男子、そして主人公の親友とその彼氏という四人の関係が描かれる、甘酸っぱいラブストーリーです。
主人公の山口真魚は調理部所属でアップルパイ作りが得意。一方、彼女に猛烈にアタックする後輩の中村成伸（通称しーちゃん）は、ナンパもする軽薄なタイプに見えます。真魚の親友である結女も調理部員で、自身の恋愛に悩みを抱えています。そして、真魚が憧れる結女の彼氏・西川が登場し、物語を動かしていきます。
『かんしゃく玉のゆううつ』は、種村有菜氏の作家としての原点とも言える作品群であり、その後の活動に繋がる様々な作風やキャラクターの原型を見出すことができます。当時の『りぼん』本誌や増刊号で読者に届けられた、多様な「恋のかたち」を描いた初期短編がまとめて読める、ファンにとっては欠かせない作品集です。
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