かんむり座R型変光星

かんむり座R型変光星についての詳細



かんむり座R型変光星、通称RCB（R Coronae Borealis variable）は、低振幅と不規則な急激な変化を示す独特な変光星のグループです。これらの星は、主に2つの異なるモードで光度を変化させます。一つは10分の1程度の振幅を持つモードで、もう一つは1等級から最大9等級に及ぶ不規則かつ急激なモードです。これらの特性は、非常に珍しいものであり、1824年にイギリスのアマチュア天文学者エドワード・ピゴットが最初に発見した「かんむり座R星」がプロトタイプとなっています。これまでに発見されたRCB星の数は約100個しかなく、その希少性が際立っています。

減光のメカニズム



この変光星が示す減光現象は、主に炭素の塊が恒星からの可視光を遮ることによって引き起こされます。興味深いことに、減光は可視光に限られ、赤外線においては明るさに変化が見られません。かんむり座R型変光星自体は、通常F型またはG型の黄色の超巨星に分類され、特有の二原子炭素やシアン化物の分子吸収帯を持っています。また、これらの星の大気には水素がほとんど存在せず、ヘリウムや他の元素の割合も非常に少なく、1000分の1から100万分の1の範囲です。

スペクトルの多様性



かんむり座R型変光星は、そのスペクトルにおいて非常に多様な性質を持っています。多くのRCB星は、F型またはG型の超巨星、あるいは冷たい炭素星（C-R型）に分類されますが、中には青いB型星や赤い巨星の例も存在します。共通してみられる特徴としては、強い炭素吸収線を持ち、水素を欠いている点、そして光度が断続的にわかりやすく減衰することが挙げられます。

炭素の塵と恒星の形成



この変光星に関連する最も興味深い現象の一つは、炭素の塵の形成メカニズムです。これについては二つのモデルが提案されています。一つは、恒星の中心から20倍の距離に塵が形成されるとするモデルで、これにより炭素が集まりやすくなるとされます。しかし、突然の減光を説明するには不十分であるため、もう一つのモデルが提唱されています。こちらは、恒星の光球内で衝撃波が生成され、局所的な冷却が生じることで塵が形成されるというものです。この場合、炭素の塵は、約4500Kから6500Kの温度帯で生成されると考えられています。

恒星そのものの形成過程に関しては、まだ明確には解明されていません。一般的な恒星進化モデルでは、水素を持たない大質量の明るい恒星は形成されないことが知られています。現在考えられている主な理論の一つは、二種類の白色矮星（ヘリウムと炭素-酸素）が融合することで新たな恒星が誕生するというものです。もう一つのモデルは、燃焼中のヘリウム殻における大規模な対流によって水素が内部へ押し込まれる結果、大気中にはほとんど存在しなくなるというものです。これにより、かんむり座R型変光星の多様性が形成過程と関連付けられ、特異な存在として位置づけられています。


参考リンク


もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。