がま池

がま池（がまいけ）

東京都港区元麻布に位置するがま池は、六本木ヒルズに近い都心の丘陵地にある小さな池です。現在はマンションの敷地内にあり、外から眺めることはできますが、池の近くへ立ち入ることはできません。

概要

かつて、がま池は約500坪（1,650平方メートル）の広さを誇り、どんな日照りの時でも枯れることのない池として知られていました。しかし、現在ではその大部分が埋め立てられています。

この池は、NHKの番組「ブラタモリ」でも紹介され、その歴史と都心に残る貴重な存在として注目を集めました（2010年12月9日放送、「三田・麻布 完全版」）。

歴史

がま池は、江戸時代には備中国成羽藩（現在の岡山県高梁市成羽町）の領主であった山崎家の屋敷内にありました。

1821年（文政4年）7月2日の大火の際、周囲が焼失する中、山崎家の屋敷だけが類焼を免れました。その理由は、池に住む大がえるが水を吹き出して火を消したためだと伝えられています。この出来事から、山崎家では防火・火傷のお守りとして「上」の字が書かれた御札を授与するようになり、人気を集めました。

この御札は、山崎家の家人である清水家が発行していましたが、1929年（昭和4年）からは麻布町内の末広神社で授与されるようになりました。しかし、第二次世界大戦中に末広神社は建物疎開により竹長稲荷（後の十番稲荷神社）に合併され、御札の授与も一時途絶えました。

その後、2008年（平成20年）に十番稲荷神社が御札を復活させ、再び授与されるようになりました。御札の「上」の字は、社伝の史料に基づき、がま池で汲んだ水を用いて墨で書かれているそうです。

池の周辺の土地は、明治維新後、渡辺国武子爵の所有となり、その後、国武の養孫である理論物理学者渡辺慧がマンションを建設し、現在は土地会社の管理下にあります。

1924年3月21日付けの東京朝日新聞には、箱根土地株式会社が麻布区西町3500坪の分譲地の広告を掲載しており、当時の土地開発の様子を伺い知ることができます。

まとめ

がま池は、その歴史と都市開発の変遷を物語る貴重な存在です。現在はマンションの敷地内ということもあり、一般の人が直接目にすることは難しいですが、防火のお守りとして語り継がれる伝説や、御札に込められた歴史は今もなお、人々の関心を集めています。かつての姿を偲びながら、この小さな池が辿ってきた長い歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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