がんばれいわ!!ロボコンウララ〜!恋する汁なしタンタンメン!!の巻

がんばれいわ!!ロボコンウララ〜！恋する汁なしタンタンメン!!の巻

本作は、石ノ森章太郎の漫画を原作とする特撮テレビドラマシリーズ『がんばれ!!ロボコン』（1974年 - 1977年）および『燃えろ!!ロボコン』（1999年 - 2000年）に連なる、2020年製作の劇場用特撮映画です。東映系で2020年 7月31日に公開され、通常版に加えMX4D版もアトラクション上映されました。同時上映は『人体のサバイバル!』と『スプリンパンまえへすすもう!』です。キャッチコピーは「目指せ100点！ロボ根性で、がんばれいわ!!」でした。

概要

『燃えろ!!ロボコン』から数えて21年ぶりの新作として製作された本作は、前作も手掛けた石田秀範が監督を、浦沢義雄が脚本をそれぞれ担当し、再びタッグを組んでいます。東映のプロデューサーは、『仮面ライダージオウ』なども手掛けた白倉伸一郎と武部直美が務めました。物語の根幹にある、無機物が人格を持つという設定を活かしたシュールなコメディが展開します。

特に意思を持った中華料理が登場する展開は、脚本の浦沢義雄がかつて「東映不思議コメディーシリーズ」で得意とした題材の一つですが、本作の内容は東映側から提案されたものであり、浦沢自身は同様の題材はすでに何十年も前にやり尽くしたため、自ら積極的に書くことはないとしています。浦沢の弟子である脚本家の下山健人は、本作の初号試写を観て「今何を観せられているのか」という、修行僧のような心境になったと感想を述べています。

ストーリー

物語は、町の中華料理店「全中華」にお手伝いロボットとして派遣されたロボコンが主人公となります。人間の役に立ちたいという強い思いとは裏腹に、ドジばかりしてしまうロボコン。ある日、店の息子であるヒロシと共に、お得意様であるトルネード婆々の元へ出前に行くことになります。嬉しさのあまりオカモチを振り回してしまった結果、出前のタンタンメンは汁がこぼれて汁なしの状態になってしまいます。しかし、この汁なしタンタンメンを食べたトルネード婆々がその味を絶賛したことから、口コミで評判が広がり、「全中華」は汁なしタンタンメンを求める客で行列ができるほどの人気店となります。この人気ぶりに嫉妬した他の擬人化された中華料理たちが怒りを爆発させ、熱いバトルが繰り広げられることになります。

登場人物

ロボコン: 本作の主人公。中華料理店「全中華」に派遣された、お手伝いロボットです。太陽光を動力源とし、頭頂部のサンサンレーダーは10km先まで見通せるレーダー機能も兼ね備えています。カーモード、ドローンモード、ホバーモードへの変形が可能ですが、ボディは容易に分解してしまうという特徴があります。声優は斎藤千和、スーツアクターは神尾直子が担当しました。
ロビン: ロボコンが一方的に恋心を寄せる女性型介護ロボットで、トルネード婆々の介護をしています。一見おしとやかですが、怒ると非常に恐ろしい性格へと豹変します。外見は人間とほぼ同じです。ロボコンから「彼女」呼ばわりされると、正拳突きなどでロボコンを破壊してしまいます。物語の途中、ある事情から暴走し、汁なしタンタンメンの世界征服を唆したり、ロボコンを追い回したりします。暴走時は頭部が巨大化し、口から破壊光線を放つ能力を見せます。『がんばれ!!ロボコン』に登場する同名キャラクターに相当しますが、脚本の浦沢は旧作のロビンを知らないと語っており、本作では可愛らしさだけでなく怖い一面も持つキャラクターとして描かれました。浦沢は、演じた土屋希乃が美少女でありながら変顔もこなせることに時代の変化を感じたといいます。演じるのは土屋希乃。
ガンツ先生: ロボットカンパニーの教師で、ロボコンを厳しい基準で採点します。本作では主に採点役として登場し、その出演シーンはリモート形式で画面越しの顔のみとなっています。後にトルネード婆々と旧知の関係であることが明かされます。声優は江原正士。
伊東ヒロシ: 中華料理店「全中華」の一人息子で、ロボコンの相棒となる少年。よく店の仕事を手伝っており、ロボコンとは兄弟のように親しくなります。演じるのは屋鋪琥三郎。
伊東カズオ: ヒロシの父親で、「全中華」を経営しています。主に注文の受付と配膳を担当しています。演じるのは小浦一優（芋洗坂係長）。
伊東ヨーコ: ヒロシの母親で、「全中華」で調理を担当しています。美人ですが、迷彩服を着用し、荒々しい言葉遣いをします。演じるのは高橋ユウ。
トルネード婆々: 豪邸に住む老婦人で、「全中華」の得意客です。髪型と眉毛が特徴的なトルネード状になっています。通常は車椅子に座っていますが、実は歩くことができます。夢は世界中を旅すること。ロボコンが偶然作った汁なしタンタンメンを気に入り、友人に勧めたことが「全中華」の汁なしタンタンメン人気に火をつけるきっかけとなります。ガンツ先生とは旧知の間柄で、物語の終盤でその関係が明かされます。演じるのは清水ミチコ。
汁なしタンタンメン: ロボコンのドジによって偶然生まれた、人格を持った担担麺です。自分を生み出したロボコンを慕う一方で、ロビンに一目惚れし、「全中華」をタンタンメン専門店にして、それを足がかりに世界を征服し、ロビンにプレゼントするという突拍子もない野望を抱きます。常に成長を続けています。撮影には食品サンプルが用いられましたが、脚本の浦沢はかつての不思議コメディーシリーズのように本物の料理が使われると考えていたため、ここにも時代の変化を感じたといいます。声優は鈴村健一。

スタッフ・キャスト

監督: 石田秀範
原作: 石ノ森章太郎
脚本: 浦沢義雄
音楽: 石塚徹、Teje
キャラクターデザイン: K-SuKe
アクション監督: 藤井祐伍
プロデューサー: 白倉伸一郎、武部直美、石川啓、小出大樹
製作: 東映

撮影エピソード

本作は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初予定されていたゴールデンウィーク明けからの撮影が延期されました。緊急事態宣言解除後の2020年6月8日にクランクインし、わずか10日ほどの6月18日頃にはクランクアップを迎えるという超短期間での撮影となりましたが、予定通りの公開を実現しました。撮影現場では、出演者やスタッフの体温・体調の事前報告や体温チェック、マスク着用といった徹底したコロナ対策が講じられました。また、物語の舞台となる中華料理屋も、当初は実際の店舗を借りる予定でしたが、3密を避けるために東映東京撮影所に急遽セットが建設されました。従業員役のキャストは本番中もマスクを着けたまま演技を行い、音声は全編オールアフレコで収録されています。

がんばれいわ!!ロボコン ウララ〜!恋する汁なしタンタンメン!!の巻