きく4号

きく4号 (ETS-III)

概要

きく4号は、日本の宇宙開発事業団（NASDA）によって打ち上げられた技術試験衛星です。この衛星は、技術試験衛星III型として設計されましたが、その愛称は先行して打ち上げられた技術試験衛星IV型に由来しています。ここでは、きく4号の目的や特徴、開発過程、運用の詳細について解説します。

目的

きく4号の大きな目的は、高電力を必要とする中高度の地球観測衛星の開発に向けての技術試験と確認です。この衛星は、三軸制御技術、太陽電池パドルの展開技術、能動的な熱制御技術など、様々な技術の試験を行うために設計されました。これらの技術は、将来の宇宙ミッションにとって重要な要素となります。

特徴

きく4号の設計は、三軸衛星技術が早期に確立されることを目的としており、国産技術を重視した自主設計が特徴です。可能な限り国内の部品を使用し、日本の宇宙技術を育成する方針が採られました。このようなアプローチにより、将来的な衛星ミッションの発展が期待されるのです。

開発の経緯

きく4号の開発は1973年度に始まりました。概念設計が行われ、衛星システムの構想がまとめられました。その後、1975年度と1976年度に予備設計が実施され、最適な衛星システムの選定と基本設計仕様の決定が行われました。1976年度には搭載実験機器の予備設計も行い、1977年度から開発が本格的に始動しました。1978年度には詳細設計が行われ、プロトタイプモデルとフライトモデルが製作・試験されました。

打ち上げと運用

1982年9月3日、きく4号はN-Iロケット7号機に搭載され、種子島宇宙センターから打ち上げられました。打ち上げ後56分の間に、デスピン、太陽電池パドルの展開、地球サーチ・捕捉、正確な姿勢制御などの重要な機能が正常に実施され、三軸姿勢が確立されました。初期の70日間では、搭載機器の正常性が確認され、その後定常段階に移行して、ビジコンカメラによる地球撮像などの実験が行われました。

1983年9月2日からは、略円軌道を維持しながらの軌道実験も継続されましたが、姿勢制御用の燃料が枯渇したことから、1985年3月8日に運用を終了しました。きく4号はその運用期間中に宇宙技術の研究と実証に大きく寄与しました。

まとめ

きく4号は日本の宇宙開発における重要なマイルストーンであり、技術試験衛星としての目的を達成することで、後の衛星技術の発展に貢献しました。愛称の由来や開発の経過を通じて、日本における宇宙技術の進展を示す一例と言えるでしょう。また、国内の技術育成に重きを置いたこのプロジェクトは、未来の宇宙開発の基盤を築くものでした。

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