N-Iロケット

N-Iロケットとは

N-Iロケット（エヌイチロケット）は、日本で初めて人工衛星を打ち上げるために開発された液体燃料ロケットです。宇宙開発事業団（NASDA）と三菱重工業が協力し、米国のデルタ[[ロケット]]の技術を基に製造されました。N-Iロケットの開発は、実用商用衛星打ち上げへのニーズに応えるため、多くの試行錯誤を経て実現しました。

開発の背景

1970年10月にNロケットの開発が始まりました。当時、東京大学宇宙航空研究所は科学衛星と固体燃料ロケットを開発していましたが、NASDAは技術の習得を迅速に行うため、米国から技術を習得することを選択しました。この背景には、ロケット技術が弾道ミサイル技術と密接に関連しているため、米国が日本のロケット技術を管理したいという思惑がありました。

1975年には、技術試験衛星「きく」を搭載した第1号機が無事打ち上げに成功し、1982年までに合計7機が打ち上げられました。しかし、時代と共に衛星が大型化し、N-Iロケットの能力では対応が困難となったため、N-II[[ロケット]]の開発に移行することとなりました。

名前の由来

「N」は日本の頭文字を表すとともに、Mロケットの次に位置することも意味しています。初めは単にNと呼ばれていましたが、改良型が現れるにつれてN-Iロケットという名称が定着しました。文部科学省の科学技術白書では、昭和53年版からN-IおよびN-II、H-Iと呼称されています。

ロケットの構造と特性

N-Iロケットは3段式のロケットで、液体燃料と固体燃料の組み合わせが特徴です。主な構成要素は以下の通りです。

第1段

• - MB-3-3エンジン: ノックダウン生産からライセンス生産に移行し、三菱重工業が製造しました。エンジンの推進剤は液体酸素とケロシンです。タンクの素材をアルミ合金に変更し、構造も進化しました。

第1段補助ブースタ

• - キャスターII: 日産自動車が製造した補助ブースタを3基使用しました。

第2段

• - LE-3エンジン: NASDAが独自に開発したエンジンで、四酸化二窒素とエアロジン-50が使用され、技術移転を受けたものでした。このエンジンは当時の最先端技術を用いて製造されています。

第3段

• - スター37N: 固体ロケットモータで、サイオコール社製のものが使用されます。

その他の要素

ロケットには、マクドネル・ダグラス製のペイロードフェアリングが搭載され、誘導装置は当初、地上で持つ電波誘導方式が用いられました。NECがその技術をライセンス生産しました。

打ち上げ実績

1975年から1982年にかけて、合計7機が打ち上げられました。この重要な実績は、日本の宇宙開発の礎を築いたといえるでしょう。N-Iロケットは、日本における商業宇宙事業の先駆けとなり、宇宙科学への道を切り開く役割を果たしました。

結論

N-Iロケットは、日本の宇宙開発史において重要な意味を持ち、今後のさらなる技術発展へとつながる基盤となりました。その成功によって、後につながる次世代ロケットの開発へと進む礎が築かれました。

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