きく5号

きく5号（ETS-V）について

きく5号（Engineering Test Satellite - V）は、日本の宇宙開発事業団（NASDA）が打ち上げた技術試験衛星です。この衛星は、宇宙でのさまざまな技術を試験し、将来的な衛星開発を支える重要な役割を果たしました。

目的と機能

きく5号は、以下の目的を持って設計されました：

• - H-Iロケットの性能確認
• - 国産固体アポジモータの性能試験
• - 静止3軸衛星バス技術の確立
• - 新規技術の実証を通じて、将来の実用衛星開発に貢献
• - 船舶通信および航空支援、捜索救難のための移動体通信実験

これらの試験は、様々な環境下で通信や運用の性能を確認するために行われ、宇宙技術の進歩に向けた貴重なデータを提供しました。

開発経緯

開発作業は1978年度から1979年度に開始され、当初の計画は中高度3軸衛星用のバス技術確立を目的としていました。この段階では、合成開口レーダを搭載し、全備質量が1.3トンになる予定でしたが、後に計画が見直されました。1982年度には静止3軸衛星としての技術確立へと方針が変更され、宇宙開発委員会にも正式に提案されました。

この段階で特に注目されたのは、郵政省と運輸省からの要望により、移動体通信実験衛星との統合が求められた点です。1983年度からは本格的な開発が始まり、1983年5月には基本設計が完了、その後1984年11月から詳細設計が進められました。

打ち上げと運用

きく5号は1987年8月27日に、種子島宇宙センターからH-Iロケット2号機によって打ち上げられました。打ち上げ後、初期運用を行い、衛星機能の確認が行われました。その後、1987年11月からは移動体通信実験や洋上管制実験等の定常運用に移行しました。

この運用は1989年3月31日まで続き、その後も実験を継続しました。最終的に、1997年9月12日に全ての運用が終了し、きく5号はその役割を果たしました。

結論

きく5号は、日本の宇宙技術の発展に寄与する重要な衛星でした。その多様な実験は、将来的な衛星開発の基盤を築き、移動体通信技術の向上にも寄与したと評価されています。きくシリーズの一環として、宇宙技術の進展に貢献する実績を残しました。

もう一度検索