きみのカケラ

きみのカケラ

『きみのカケラ』は、高橋しんによる日本の漫画作品で、『週刊少年サンデー』（小学館）にて2002年9月から2004年3月まで連載されました。単行本は全9巻が刊行されています。

概要

本作は、『週刊少年サンデー』にて2002年38号から2003年12号、そして2004年4・5合併号から2004年14号にかけて連載されました。連載期間中、作者の高橋しんの体調不良による休載期間があったため、雑誌掲載稿からの加筆訂正が多く、特に5巻後半以降はほぼ書き下ろしとなっています。そのため、初出から単行本刊行までの期間が長く、連載開始から約8年を費やして、最終9巻が2010年7月に発売され完結しました。

英語タイトルは「LOOK FOR ONE PIECE. TO THE FUTURE OF YOURS.」です。本作は、作者が高橋しんが幼少期に読んだ童謡『天の笛』をイメージして描かれた作品です。

また、『きみのカケラ』の双子作品として、『スピカ - The twin ST☆Rs of "KIMI NO KAKERA" - 』 （単行本収録時のタイトルは、『スピカ - ふたりの銀のつばさ - 』）が『週刊少年サンデー』2010年34号に掲載され、さらに『スピカ - 放課後のちいさな星 - 』が『週刊少年サンデー』2013年31号に掲載されました。これらの2作品を収録した単行本『スピカ - The twin STARS of "きみのカケラ" - 』が2013年8月に発売されています。

ストーリー

物語の舞台は、高度な科学力を持っていた文明が過去のものとなった世界です。物語の舞台となる国は、周囲を崖に囲まれ、常に雪が降り積もる厳しい環境にあります。国民は貧しく、希望を失い、王族の権威も衰退していました。

この国で、権力を政族に奪われた王女であるイコロは、感情を失った「ヒトガタ」として生きていました。弟と二人で小さな小屋で暮らしていた彼女は、ある日、戦族に襲われたところを記憶を失った少年シロに助けられます。イコロとシロは、かつて存在したという「太陽」を探す旅に出ることを決意します。

登場人物

イコロ

王族のボロ家に住む王女。「イコロ」とは、作中の言葉で「宝」を意味し、フルネームは「カムイ・ポロ・チセ・イコロ」です。名前はアイヌ語に由来し、それぞれ「神」（カムイ）、「大きい」（ポロ）、「家」（チセ）、「宝」（イコロ）を意味します。

13歳ながら、7〜8歳に見られることが多いです。飛び級を重ねる秀才ですが、感情を失った「ヒトガタ」のため友達がいません。規則正しい生活を送り、朝4時に起床し、夜12時に就寝します。眠さの限界を超えると「寝グセ」が悪くなるという特徴を持ちます。一人称は「オレ」です。

物語当初は泣き虫で、困難に直面すると他人のせいにして泣いていましたが、レジスタンスやクジラ（ナマズ）での騒動を経て、王女としての責任感を抱くようになります。5巻の最後で、戦族やヨナを救うために独りクジラに残り、一時的に行方不明になりますが、7巻で再登場を果たします。その際、先人たちの記憶を受け継ぎ、多重人格のような状態になり、自身を見失いかけています。記憶を渡した人物は、イコロの父である王である可能性が示唆されています。

シロ

両手に手錠をはめ、記憶を失っている少年。シロもまた「涙」と「痛み」を失った「ヒトガタ」です。自分の名前を忘れていたため、イコロに「シロ」と名付けられます。「じっちゃん」が探していた「ヒトガタ」を探していましたが、イコロと出会い、共に太陽を探す旅に出ます。出会う人に「お前テキか？それともトモダチか？」と尋ねる癖があり、これも「じっちゃん」から教わったものです。戦うたびに記憶が失われるものの、「イコロ」の名前や「じっちゃん」から教わったことは覚えています。一人称は「オレっち」または「シロ」です。

「壁の外」に出た際、戦族が死んでいく中で自分だけが生き残ることに恐怖を抱いています。

ヨナ

自分たちの「正義」のために戦う、勇敢な子供たち「レジスタンス」の一人です。政族と戦族に奪われた「ご神体」を取り戻すために、旧文明の「ナマズ」に乗り込む際にイコロに助けられ、以降行動を共にします。物心ついた時から銃を握っており、兄のイムザは「レジスタンス」のリーダーです。一人称は「オラ」です。

5巻以降は、行方不明になったイコロを探すためにシロと共に旅に出ます。

クロ

王家に代々伝わる「愛玩人形（アイドル）」です。元々は高貴な名前で呼ばれていましたが、イコロによって「クロ」と名付けられます。イコロによって改造され喋れるようになり、語尾に「ナリ」「にゃ」「☆」などをつけます。自称「王家のアイドル」です。

マタク

イコロの弟で、目が見えない病気を患っています。

シャー

イコロの執事を務める謎多き老婆です。王族の親衛隊よりも体力に優れていたり、伝説に詳しかったりします。年齢は90歳近くです。

ピリカ

王族の王妃で、元々は平民の羊飼いでした。妹が将軍の妾になった縁で「太陽研究機関」に所属し、そこで王（イコロの父）と出会い結婚しました。現在は人質に取られているとされています。

エリザベス

戦族の少佐で、イコロの従姉妹です。兄である大佐からは「ベス」と呼ばれています。父である将軍を深く尊敬しており、将軍が探していた「ヒトガタ」を求めています。強気な態度を見せる一方で、乙女な一面も持ち合わせていますが、学校嫌いで頭が悪いようです。

エリオット

戦族の大佐で、エリザベスとは異母兄妹です。エリザベスを嫌っている様子はなく、クジラ（ナマズ）の実験中にクーデターを起こし、政族議長を捕らえ政権を握りました。

玉（ぎょく）

政族の長の女性です。王族に対して良くない感情を持っており、政族の力を示すために、旧文明の飛行物体である「クジラ」の浮遊を指揮しました。

ニシノカムイ

古代文明の遺物の一つで、「この国」を囲む壁を作ったとされています。ニシノカムイが退いた場所から外の世界に通じる穴が開いています。

クジラ（ナマズ）

古代文明の遺物の一つです。学者族によって一度は復活しましたが、暴走し壁にひび割れ（蒼天のサケメ）を入れました。ニシノカムイが作った壁の内側に古代の人々を運んだとされています。

単行本

高橋しん『きみのカケラ』小学館〈少年サンデーコミックス〉、全9巻

2003年2月15日初版発行 ISBN 4-09-126611-8
2004年1月15日初版発行 ISBN 4-09-126612-6
2004年9月15日初版発行 ISBN 4-09-126613-4
2005年4月15日初版発行 ISBN 4-09-126614-2
2006年2月15日初版発行 ISBN 4-09-126615-0
2007年8月15日初版発行 ISBN 4-09-120050-8
2009年10月16日初版発行 ISBN 4-09-122047-9
2010年1月23日初版発行 ISBN 4-09-122227-7
2010年7月21日初版発行 ISBN 4-09-122473-3 （イラスト集同梱限定版 ISBN 4-09-159080-2）

『スピカ - The twin STARS of "きみのカケラ" - 』 2013年8月16日初版発行 ISBN 4-09-124402-5

外部リンク

SINPre.com! - 作者の公式サイト

もう一度検索