きらきらひかる (小説)

きらきらひかる：複雑な愛の物語

1992年に公開された日本映画『きらきらひかる』は、江國香織の同名小説を原作とする作品です。アルコール依存症気味の女性と、同性愛者の夫、そして夫の恋人の3人を中心に、複雑で繊細な人間関係が描かれています。

ストーリー：

笑子は、医師の睦月と見合い結婚します。しかし、結婚前に笑子のアルコール依存症、そして睦月の同性愛という秘密が明らかになります。戸惑いながらも結婚を決めた2人ですが、周囲からの子供を望む圧力や、笑子の不安定な精神状態、そして睦月の恋人・紺の存在によって、3人の関係は複雑さを増していきます。

睦月の恋人である紺は、睦月と中学生時代からの恋人関係にあり、結婚後も睦月と笑子と奇妙な友情のような関係を築いています。笑子はアルコール依存症の治療に通いながらも、家事や仕事、そして複雑な人間関係の中で苦悩します。そんな笑子は、睦月の同僚である産婦人科医・柿井に、突飛な相談を持ちかけるのです。

登場人物：

岸田笑子（演：薬師丸ひろ子）： アルコール依存症気味の翻訳家。情緒不安定で精神科に通院歴もあります。家事は苦手ですが、夫である睦月からの唯一の要求であるシーツのアイロンがけだけはきちんとこなします。
岸田睦月（演：豊川悦司）： 笑子の夫で医師。同性愛者であり、大学生である恋人・紺と関係を続けています。笑子の精神状態を心配し、支えようと努力しています。
藤島紺（演：筒井道隆）： 睦月の恋人。中学生時代から睦月と恋仲にあり、笑子に対しても、嫉妬心はなく、むしろ友情のような関係を築いています。
その他： 笑子の友人、睦月の両親、睦月の同僚の医師、笑子の元恋人など、様々な登場人物が笑子と睦月の関係に影響を与えます。

映画版の特徴：

映画版『きらきらひかる』では、小説とは異なる描写や設定も見られます。例えば、笑子のわがままに対して睦月が手をあげるシーンや、紺が笑子に嫉妬する描写などが加えられています。豊川悦司は、この映画での演技により日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。

スタッフと評価：

監督・脚本は松岡錠司。豪華なキャスト陣と、繊細な演出によって、映画は高い評価を得ました。キネマ旬報ベストテンにもランクインし、薬師丸ひろ子と筒井道隆はそれぞれ主演女優賞、助演男優賞を受賞しています。松岡錠司監督はシカゴ国際映画祭でゴールド・ヒューゴ賞を受賞しました。

作品のテーマ：

『きらきらひかる』は、アルコール依存症、同性愛、そして複雑な人間関係といった重いテーマを扱いつつも、登場人物たちの心の機微を丁寧に描き出しています。一見奇妙に見える3人の関係性を通して、愛や家族、そして生きることの意味について考えさせられる作品です。詩人入沢康夫の詩「キラキラヒカル」を題名に用いていることも、作品の世界観を象徴しています。独特の雰囲気と、心に響くストーリーは、多くの観客を魅了し続けています。

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