くにさき七島藺表

くにさき七島藺表（くにさきしちとういおもて）

「くにさき七島藺表」は、大分県国東市で生産される畳表で、七島藺（シチトウ）を原材料としています。2016年12月7日に地理的表示に登録されました。

概要

七島藺で作られた畳表は、通常の藺草製のものと比較して5～6倍の強度を持つことが特徴です。かつては、その耐久性の高さから柔道場や劇場の桟敷など、特に強度を求められる場所で広く用いられていました。しかし、高度経済成長期以降、生活様式の変化に伴い畳の需要が減少し、七島藺の生産も衰退しました。現在、七島藺の産地は日本国内では大分県の国東半島（国東市、杵築市）のみとなっており、希少価値の高い畳表として、国産藺草を使ったものよりも高値で取引されています。

国東市の七島藺産地は、2011年に「国東地域七島い圃」として文化庁の「ふるさと文化財の森」に指定され、その文化的価値も認められています。

歴史

七島藺の栽培は、江戸時代初期の1660年頃から豊後国（現在の大分県）の府内藩、日出藩、杵築藩で始まりました。以来、昭和時代まで特産品として全国に販売され、ピーク時には年間500万畳以上を生産し、日本一の生産量を誇っていました。しかし、栽培の容易さや機械化に適した藺草が主流となり、畳の需要自体も減少したことから七島藺の生産は衰退していきました。現在では、国東市と杵築市で約10戸の農家が約1ヘクタールの面積で栽培を続けるのみで、年間生産量は3,000枚弱に留まっています。

近年、七島藺の畳表は琉球畳として再び注目を集めています。消費者の間で自然志向や本物志向が高まっていることや、中国産の琉球畳表への不信感などから需要は大幅に増加しています。しかし、生産者の高齢化や機械化の遅れにより、供給が需要に追いついていないのが現状です。

生産の現状と課題

七島藺表の生産量は、最盛期から大幅に減少しており、生産者の高齢化や後継者不足が深刻な問題となっています。また、機械化の遅れも生産効率を上げる上で課題となっています。需要は増加傾向にあるものの、これらの課題を解決しなければ、安定的な供給は難しい状況です。今後の持続可能な生産体制の構築が求められています。

脚注

地理的表示（GI）: 特定の地域で長年培われた伝統的な生産方法や気候風土、土壌などの特性が、品質等の本質的な要素となっている産品の品質を保護する制度。

外部リンク

くにさき七島藺(七島イ)振興会
くにさき七島藺振興会 (くにさき七島藺振興会-220905014757455) - Facebook
七島藺（しちとうい）とは 杵築市
杵築七島いの歴史 杵築市
くにさき七島藺表（登録番号第22号）:登録の公示・登録産品紹介 - 農林水産省[[地理的表示]保護制度登録産品](リンク未提供)

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