くるみと七人のこびとたち

くるみと七人のこびとたち：グリム童話の世界を舞台にした、少女の冒険物語

高瀬綾氏による少女漫画『くるみと七人のこびとたち』は、1992年12月号から1995年2月号まで講談社の少女漫画雑誌『なかよし』にて連載された人気作品です。全26話で単行本は全5巻。グリム童話を題材としたファンタジー作品であり、高瀬綾氏の代表作として広く知られています。ふわふわとした優しい絵柄、元気いっぱいの主人公、そして時にミュージカル調の軽快な描写が特徴的な作品となっています。

物語のあらすじ

主人公の森本くるみは、童話好きの中学1年生。親戚である童話作家、春日ハルヒがドイツ旅行から帰国するのを心待ちにしていました。しかし、ハルヒの家を訪ねると、帰ってきた形跡はあるものの、本人は不在。その代わりに、ハルヒがドイツで購入したという古びた奇妙な本を発見します。

その本を開いた瞬間、七人の小人達とグリム兄弟が飛び出してきたのです！なんと、その本は童話の世界「メルヘンランド」への扉だったのです。グリム兄弟によると、ハルヒがメルヘンランドへ入ってしまったことで、童話のストーリーが狂ってしまったとのこと。

ハルヒはメルヘンランドで白雪姫と恋に落ち、その影響で、本来白雪姫と王子の結婚式で命を落とすはずだった継母サザーヌが生き延びてしまったのです。サザーヌは不思議な鏡の力を使い、メルヘンランドの運命、つまり童話の筋書き（善人が幸せになり悪人が滅ぶ）を操り、自分以外にも童話の悪役たちを生かし続けようとしていました。

もしメルヘンランドで悪が生き残ることが正しくなってしまえば、現実世界の童話も同様に歪められてしまう危険性があるのです。そのため、グリム兄弟はくるみに助けを求め、サザーヌによって狂わされた物語を修正するよう依頼します。

こうして、七人の小人たちに導かれる形で、くるみはメルヘンランドへと旅立ちます。そこで出会った白雪姫の王子カイルと共に、行方不明になった白雪姫とハルヒを探す旅が始まります。シンデレラや赤ずきんといったおなじみの童話の世界を巡りながら、くるみたちは物語の修正に挑みます。そして、最終的にサザーヌの城に白雪姫とハルヒがいることを突き止めます。

魅力的なキャラクターたち

物語を彩る個性豊かなキャラクターたちも本作の魅力の一つです。

森本 くるみ: 元気で明るい中学1年生の主人公。ハルヒを救い、メルヘンランドの危機を救うため奔走します。
カイル: 白雪姫の王子。最初はくるみを白雪姫と勘違いしますが、真実に気づき、くるみの旅に協力します。
七人の小人: 白雪姫の七人の小人。それぞれに「賢い」「物静かな」「騒々しい」など、ドイツ語由来の人間の性質を表す名前が付けられています。くるみの旅をサポートします。
春日 ハルヒ: くるみの親戚で童話作家。メルヘンランドで白雪姫と出会い、共に旅に出ます。
サザーヌ: 白雪姫の継母。鏡の力を使ってメルヘンランドを操ります。
グリム兄弟: メルヘンランドの番人として、くるみを導きます。
* その他: シンデレラ、赤ずきん、ヘンゼルとグレーテルなど、おなじみの童話キャラクターたちも登場し、物語に深みを加えています。

ゲームへの登場

『くるみと七人のこびとたち』はテレビアニメ化やOVA化はされていませんが、ファミリーコンピュータとスーパーファミコンで発売された『なかよしといっしょ』と『PANIC IN なかよしワールド』というゲームソフトに、本作のキャラクターが登場しています。

まとめ

『くるみと七人のこびとたち』は、グリム童話をベースにした、明るく楽しいファンタジー作品です。現実世界とメルヘンランドを行き来する冒険、個性豊かなキャラクター、そして軽快なテンポで進む物語は、読者に多くの感動と興奮を与えてくれます。高瀬綾氏の代表作として、多くのファンに愛され続けている作品です。

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