ぐるりのこと。

映画『ぐるりのこと。』概要

『ぐるりのこと。』（英題：All Around Us）は、2008年6月7日に公開された日本のドラマ映画です。この作品は、ビターズ・エンドの配給により世に送り出されました。物語は一組の夫婦を中心に、1990年代を舞台にして、彼らが生まれたばかりの子供の死という深い悲しみを乗り越えていく10年間の様子を描いています。

この映画における「ぐるり」とは、人々の身近に起こる様々な出来事を意味しており、それらがどのように夫婦の生活に影響を与えていくのかが描かれています。特に、木村多江とリリー・フランキーが主演を務めたこの作品は、二人にとってそれぞれの初主演作でもあります。キャッチフレーズには「めんどうくさいけど、いとおしい。いろいろあるけど、一緒にいたい。」とあり、夫婦の複雑な感情や絆を象徴しています。

ストーリー

物語の舞台は1993年、小さな出版社で働く妻・翔子と、生活力に欠けがちな夫・カナオの幸せな日々から始まります。彼らは第一子の誕生を心待ちにし、どこか平穏な生活を送っています。カナオは日本画家を目指しながら法廷画家としての仕事を得ますが、運命は残酷なものであり、翔子は出産後に赤ん坊を失うという悲劇に直面します。

翔子は深い悲しみに沈み、次第にうつ病に襲われていく中で、夫のカナオは彼女を静かに見守り続けます。カナオは法廷画家として裁判を傍聴するうちに、東京や埼玉で発生した重大事件の公判に関与し、様々な人々の苦悩やドラマを目撃します。この経験を通して、彼自身もまた成長していきます。

二人の夫婦は、時代の波を受けながら互いの絆を深めていく様子が、丁寧に描写されています。彼らの生活は決して順風満帆ではありませんが、信頼と愛情を持ち続けることの重要性がクローズアップされ、切ないながらも温かなストーリーが紡がれています。

登場人物

• - 翔子（木村多江）: 明るくしっかりした性格の妻。出版社で働きながら、私生活でも穏やかな日々を過ごしていたが、子供の死を経て精神的に苦しむことに。
• - カナオ（リリー・フランキー）: 妻とは対照的にマイペースでルーズな性格の夫。法廷画家として多くの事件に立ち会いながら、翔子を支えようと奮闘する。

受賞歴

この映画は多くの映画祭で高い評価を受け、数々の賞を受賞しています。特に第23回高崎映画祭では最優秀作品賞と最優秀主演女優賞を獲得するなど、作品の完成度の高さが認められました。他にも日本アカデミー賞や毎日映画コンクールなど、多方面で評価されています。

結論

『ぐるりのこと。』は、過酷な運命に翻弄されながらも、愛に支えられ成長していく夫婦の姿を感動的に描いた作品です。時代背景と人間ドラマが織りなす深いストーリーは、観る者に多くの感動を与え、心に残る作品となっています。

もう一度検索