けいききゅう座

軽気球座（けいききゅうざ）

軽気球座（Globus Aerostaticus）は、フランスの天文学者ジェローム・ラランドによって提案された星座であり、その創作は1798年にさかのぼります。この星座は、現在の88星座の中には含まれていないため、公式な星座としては認められていません。

ラランドは、南天の星座を考案する際、当時の進歩的な技術や科学に触発されました。特に、南天の星座の創設を行った著名な天文学者ニコラ・ラカイユの影響を受けて、化学実験用具などをモチーフにした新しい星座を設けたことが契機となりました。このような背景から、ラランドは新しい星座にどのようなテーマを選ぶかを考慮しました。

1798年、ラランドはドイツの天文学者ヨハン・ボーデやモンゴルフィエ兄弟に着想を得た2つの新しい星座を作成することに合意しました。その一つが軽気球座であり、もう一つは印刷技術の象徴である印刷室座（Officina Typographica）でした。これらの星座は、科学技術の発展を反映しており、特に軽気球座は空を飛ぶ技術の象徴として位置づけられました。

ラランドが提唱した軽気球座は、1801年にボーデが刊行した「ウラノグラフィア」の中で初めて紹介されました。この文献には、双方の星座に関する図版が掲載されており、当時の天文学界において重要な位置を占めました。残念ながら、軽気球座と印刷室座は後の星座リストには含まれず、公式に認められることはありませんでした。

軽気球座が消えてしまった背景には、天文学が発展し、星座の整理が進む中で、より多くの市民や学者に広く理解され、受け入れられることが求められたためです。この過程で、軽気球座はもはや適切なものではなくなり、その存在はほとんど忘れ去られています。しかし、軽気球座の独自性や歴史的な背景を考慮すると、興味深い話題となることでしょう。

結局のところ、軽気球座は短命ながらも、当時の科学の進歩や夢を反映した象徴的な星座であったと言えます。その意味で、軽気球座は星座の歴史の中で特有の位置を占めており、天文学の発展に貢献した一つの試みと見なされています。

もう一度検索