けがれなき聖母の騎士聖フランシスコ修道女会

けがれなき聖母の騎士聖フランシスコ修道女会は、カトリック教会に属する女子修道会です。一般には「聖母の騎士修道女会」という通称で呼ばれています。この修道会は、1949年に日本の長崎県で誕生し、カトリック長崎大司教区の管轄下に置かれています。

創設の背景と歴史

修道会の礎を築いたのは、コンベンツァル聖フランシスコ修道会に所属していたミエチスラオ・マリア・ミロハナ神父（1908-1989）です。ミロハナ神父は、1930年4月、当時神学生であった時期に、後の聖人となるマキシミリアノ・コルベ神父と共に日本を訪れ、その宣教活動を支えました。

第二次世界大戦が終結した後、長崎では原子爆弾投下などによって多くの人々が犠牲となり、保護者を失った戦災孤児が数多く存在する悲惨な状況でした。この現実を目の当たりにしたミロハナ神父は、彼らを救う必要性を強く感じ、1946年に養護施設「聖母の騎士園」を設立しました。この施設は、困難な状況にある子どもたちの希望の光となりました。施設設立から間もない1949年5月25日には、戦後復興の途上にあった日本を巡幸されていた昭和天皇がこの「聖母の騎士園」を訪問されるという出来事もありました。

施設を運営する中で、ミロハナ神父は、一時的なボランティアの協力だけでは不十分であり、生涯を神に捧げ、献身的に働く専門的な人材、すなわち修道女たちの全面的な協力が不可欠であると強く感じるようになります。この強い思いが、女子修道会の創立へと繋がりました。

修道会の設立と発展

こうして、修道会の創立が決意され、1949年12月8日に正式に誕生しました。この日はカトリック教会において「無原罪の聖母」を記念する重要な祭日であり、聖母マリアへの特別な信心を示す日付でもあります。この日、7人の志願者が修道服をまとい、修道女としての第一歩を踏み出しました。

修道会は設立後間もない1950年には、カトリック長崎教区の管理下にある「通常誓願修道会」として、教皇庁からの正式な認可を受けるに至りました。これは、修道会の存在と活動が教会によって公的に認められたことを意味します。

その後も修道会は発展を続け、組織的な強化が図られました。2018年10月には、修道会の位置づけをより普遍的なものとするための「聖座法修道会」への移行手続きが完了しました（教会当局の正式な承認は今後得られる見込みです）。さらに近年では、組織の再編も進められ、2024年には、日本における活動を統括する「日本管区」と、創設者ミロハナ神父の母国であり、修道院が設立されているポーランドの活動を管轄する「ポーランド管区」が新たに設立されました。

会の精神と多様な活動

けがれなき聖母の騎士聖フランシスコ修道女会が活動の根幹とする精神は、「けがれなき聖母マリアを通してイエスのみ心へ」というモットーに明確に示されています。会員である修道女たちは、聖フランシスコ・アッシジに由来する清貧、従順、貞潔といった福音的な生き方を指針とする「フランシスカンの霊性」に基づき、神と隣人に対する無条件かつ無制限の奉献の精神を実践しています。

その具体的な活動は非常に多岐にわたります。日本では、主に九州地方の長崎県、佐賀県、大分県において、以下のような幅広い分野で社会的な奉仕活動を展開しています。

知的障害者支援施設の運営
重症心身障害者支援施設の運営
養護施設の運営（創立の原点となった事業）
高齢者向け老人ホームの運営
* 次世代育成のための保育園、幼稚園の運営

これらの福祉・教育事業に加え、人々に福音のメッセージや信仰の喜びを伝えるための出版事業活動も積極的に行っています。

また、修道会は日本国内に留まらず、海外にも活動の場を広げています。創設者の故郷であるポーランドには修道院が設立されており、ポーランド管区の基盤となっています。さらに、韓国にも修道院を設け、アジアの国々においてもカトリックの精神に基づいた奉仕活動を行っています。

本部機能は、日本管区本部として〒859-0167 長崎県諫早市小長井町遠竹2747-6に置かれています。けがれなき聖母の騎士聖フランシスコ修道女会は、創立当初の戦災孤児支援という使命から発展し、現在では多様なニーズに応える社会奉仕を通して、神への愛と隣人への奉仕を具体的に証ししています。

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