この広い野原いっぱい

この広い野原いっぱい

『この広い野原いっぱい』は、1967年1月2日にリリースされた日本のフォークソングであり、歌手森山良子の代表曲として広く知られています。この楽曲の作詞は小薗江圭子、作曲は森山良子が担当しており、レコーディングはフィリップス・レコードより行われました。楽曲は、広大な自然の美しさを背景に、どこまでも続く野原を描写しつつ、その中で愛する人からの手紙を強く願うという、非常に感情的で詩的な内容となっています。

作詞者と作曲者について

小薗江圭子は、数々の人気楽曲を手掛けた歌詞作家であり、他にも「うちのネコ ぼくのネコ」や「魔法のワルツ」の作詞を行っています。また、文筆家としても知られ、『モザイクの馬』や『耳かきのすきな王様』など、多くの著作を残しました。2011年に76歳で他界した彼女は、フォークソングだけでなく、アニメ映像にも携わり、幅広い創作の世界で活躍していました。

エピソードとヒットの背景

森山良子は、ある日東京・銀座の画廊を訪れた際に見つけたスケッチブックに描かれていた詩に着想を得て、わずか30分でこの楽曲にメロディーをつけました。彼女が学生時代に出演していたラジオ番組でこの曲をオンエアしたところ、リスナーの間で話題を呼び、リリース後には瞬く間にヒットを記録しました。しかし、当初ジャズシンガーを目指していた森山にとって、フォークロックでの成功は予期せぬものでありました。彼女自身も「時代の影響だったのかもしれない」と振り返っています。

さらに、この曲は音楽教育においても評価されており、小学校の音楽教科書に採用されています。また、1974年にはNHKの番組『みんなのうた』で取り上げられ、全国放送されました。2000年にはプレイステーションのゲーム『ぼくのなつやすみ』のエンディングテーマとしても使用され、昭和時代のフォークソングとしての存在感を示しました。

収録情報と再放送

この楽曲は、森山良子自身が歌う「この広い野原いっぱい」をはじめ、他にも「一番星の歌」といった楽曲が収録されています。『みんなのうた』における紹介は1974年4月から5月にかけて行われ、動画は城ヶ島での実写映像が用いられました。多くの視聴者から楽譜希望が寄せられるなど、大きな反響があったことが伺えます。

本曲は1983年に再放送されたこともありましたが、その後しばらくは放送されずにいました。しかし、2011年に「みんなのうた発掘プロジェクト」が進行し、2012年にはおよそ38年ぶりに再度の放送が実現しました。

カバーとその影響

さらにこの楽曲は、様々なアーティストによってカバーされています。桑田佳祐ややなわらばー、木山裕策、天地真理などがそれぞれ自身のスタイルでこの曲を歌い継いでおり、フォークソングとしての豊かな魅力は受け継がれています。特に桑田佳祐のカバーは、2014年の『昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』に収録され、多くの新たなファンに親しまれています。

『この広い野原いっぱい』は、時代を超えて多くの人々に愛され、歌い継がれる名曲として、フォークソングの歴史に深く根付いています。

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