これで家族

これで家族

作品概要

『これで家族』（これでかぞく）は、漫画家である西ゆうじが原作、杉江雅巳が作画を担当した日本の漫画作品、およびこれを原作として制作されたテレビドラマです。不安定な現代社会で生きる主人公を中心に、家族や人間関係のあり方を問いかける物語として描かれました。

漫画版

漫画版は、実業之日本社が発行していた漫画雑誌『週刊漫画サンデー』にて連載されました。単行本は同社のマンサンコミックスレーベルより、全2巻が刊行されています。

漫画あらすじ

物語の主人公、里佳子は短大を卒業後、親の反対を押し切って一人暮らしをしながら派遣社員として働く道を選びます。しかし、派遣先での女性社員たちからの陰湿な嫌がらせに我慢ができなくなり、勤めていた会社に辞表を提出してしまいます。

失業して心が荒んでいた里佳子は、ある日、街でカメラを向けてきたカメラマンの夏彦とトラブルを起こします。感情的な衝動から、夏彦のカメラを奪おうとしてしまい、結果的にカメラを壊してしまうという出来事に見舞われます。この予期せぬ出会いが、里佳子のその後の人生に影響を与えていくことになります。

テレビドラマ版

漫画を原作としたテレビドラマ版は、TBS系列の昼帯ドラマ枠として親しまれていた『ドラマ30』にて放映されました。放送期間は1997年12月1日から翌1998年1月30日にかけてです。本作は中部日本放送（CBC）が制作を担当し、月曜日から金曜日の午後1時30分から午後2時0分まで（日本標準時）の帯で放送されました。全8週にわたり、合計40回の放送が行われました。

ドラマ版は原作の設定から一部変更が加えられている点が特徴です。例えば、主人公・里佳子の職業が派遣OLではなくデパート店員であったり、最終回で里佳子と源太郎が結ばれるなど、物語の展開や結末において独自の要素が比較的多く盛り込まれており、オリジナル性の高い作品となっています。

キャスト

里佳子 - 濱田万葉
源太郎 - 秋野太作
夏彦 - 遠藤直人
隆三 - 坂本あきら
紀子 - 山口美也子
藤田 - 山本年元
田丸 - 重松収
タネ - 三條美紀
静恵 - 岡本麗
相川裕滋
秋山菜津子

スタッフ

脚本 - 関根俊夫、いずみ玲、金井寛
演出 - 九鬼通夫
プロデューサー - 冨永晃一、安東多紀
ディレクター - 九鬼通夫、冨塚博司、小森耕太郎
主題歌 - 「つかずはなれず、恋知れず」（SINCERE）
制作 - 中部日本放送
著作 - テレパック

この作品は、漫画とドラマそれぞれで表現方法や結末に違いがありながらも、主人公が人生の岐路に立ち、周囲の人々との関わりの中で新たな「家族」や居場所を見つけていく過程を描いています。昼帯ドラマらしい、日々の生活に寄り添うような温かい視点と、登場人物たちの人間ドラマが多くの視聴者に共感を呼びました。

全2巻というコンパクトな漫画版に対して、ドラマ版は週5日放送で40回というボリュームがあり、じっくりと人間関係や心の機微を描写することが可能となりました。特にドラマ版における原作からの変更点は、物語のテーマやメッセージ性をより強調するための脚色であると言えるでしょう。里佳子と源太郎の関係性の変化は、ドラマ版の大きな見どころの一つでした。

もう一度検索