日本標準時

日本標準時と中央標準時の概要

日本標準時（JST）は、日本における標準的な時間を示すものであり、協定世界時（UTC）に9時間を加えた時刻です。この時間は、情報通信研究機構（NICT）の原子時計から生成されています。日本の標準時は「UTC（NICT）」と呼ばれ、国際的な基準との誤差は±10ナノ秒以内に抑えられています。具体的には、JSTは日本全国で広く使用され、NHKなどの放送局やNTTの時報でも利用されています。

一方、中央標準時（JCST）は国立天文台の水沢キャンパスにてセシウム原子時計を使って決定され、実際の時間を示します。中央標準時は、法令に基づき「中央標準時=協定世界時+9時間」と定義されていますが、時刻の管理に関しては国立天文台が指定された役割を果たしています。

標準時と中央標準時

日本においては、標準時に関する法令が十分に明確ではなく、標準時と中央標準時という呼称は存在しますが、日本標準時という名称は法律に登場しません。例えば、標準時の定義は「東経135度の子午線の時」によるものですが、その具体的な取り決めはありません。しかし、標準電波を用いた時刻の通報は、総務省によって所管されており、あるいは告示によって協定世界時を9時間進めた時刻とされています。

標準時を発表するNICTと、中央標準時を定める国立天文台は、いずれも国際的な原子時計システムを運用しています。NICTの提供する時刻と国立天文台の視点は異なるため、双方の時計に若干の差異が生じることもあります。このため、各機関が発表する時刻の正確性を測定し相互に調整を行う仕組みが構築されています。

夏時間の採用

1952年に日本では夏時間を採用した法律が廃止されていますが、歴史的には1948年から1951年にかけて夏時間の実施がありました。更に、2004年から2006年の間に試行された北海道サマータイムのような取り組みもありましたが、これは正式な夏時間とは異なり、始業・終業の時間を変更するものでした。

JSTと同じ定義を持つ標準時

日本標準時（JST）と協定世界時（UTC）が9時間異なる標準時はいくつか存在し、韓国のKSTやパラオのPWT、平壌のPYTなどが挙げられます。これらのほか、過去にはオーストラリアの西部夏時間やイルクーツク標準時などが同じ定義で存在していました。

標準時の歴史

日本の標準時に関する初の法令は1886年に公布され、グリニッジ子午線を本初子午線とし、東経135度の標準時が確立されました。その後、1895年に中央標準時という名称が誕生し、以降、日本標準時と中央標準時の二つの概念が発展していきました。1937年には、中央標準時としての一本化が行われ、日本の標準時はこの中央標準時のみに集約されました。

また、2013年には日本標準時の早期変更について提案されましたが、公式には実現しませんでした。

日本標準時の供給と最新技術

JSTはデジタル信号としても広く利用されており、NTTの電話回線を通じた時報サービスが提供されています。さらに、NICTはNTPサーバを通じてインターネットを介した時刻同期サービスも行っており、これにより多くのユーザーが正確な時間をオンラインで取得できる環境を整えています。

日本標準時は、今後も新しい技術や国際的な基準に基づいた正確な時間の提供を目指し続けるでしょう。

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