さいだん座

さいだん座

さいだん座（Ara）は、ラテン語で「祭壇」を意味する星座で、古代ギリシャの天文学者たちによって名付けられました。この星座は、南天に位置し、主に4つの3等星と3つの4等星から構成されています。星座の北端が-45.5°という位置にあるため、日本を含む北半球の中緯度地域からは、その全容を観察することが難しいのが特徴です。

主な天体

2023年6月時点で、国際天文学連合（IAU）により認証されている恒星は2つ存在しています。まず、μ星は太陽系から約51光年の距離にあり、見かけの明るさは5.15等です。この恒星は、主系列星または準巨星に分類され、周囲には4つの太陽系外惑星が発見されています。これらの惑星は「セルバンテス」という名前の主星にちなんで名付けられています。

次に、HD 156411は約182光年離れた6.67等のG型主系列星であり、IAU100の行事期間中にペルーによって命名され、「Inquill」と名付けられました。この他、さいだん座にはα星、β星、γ星、ζ星などの恒星も含まれています。

特にβ星は、さいだん座で最も明るく見える恒星で、赤色超巨星として知られています。また、X線連星GX 339-4もこの星座に含まれており、1973年に発見されました。これには5.8太陽質量のブラックホールがあり、複雑な連星系を形成しています。

星団・星雲・銀河

さいだん座周辺には、メシエ天体はないものの、コールドウェルカタログに選ばれた星団があります。例えば、NGC 6352は約18,300光年の距離にある球状星団で、NGC 6193は約4,100光年の場所にある散開星団であり、周囲の散光星雲にも影響を与えています。

由来と歴史

さいだん座の由来は古代ギリシャにさかのぼります。紀元前3世紀に詩人アラートスが著書『ファイノメナ』で言及し、後にプトレマイオスも言及しました。彼の作品『アルマゲスト』では、星座は7つの星で構成されるものとされています。特に祭壇を模した形が描かれたことが特徴です。

ドイツの法律家ヨハン・バイエルは1603年に全天星図を発表し、南天の星々の位置を整理しました。その後、18世紀の天文学者ニコラ＝ルイ・ド・ラカイユの観測によって、正確な星の位置が確定され、ギリシア文字による新しい命名が行われました。1922年、国際天文学連合（IAU）が現行の88星座としてさいだん座を正式に選定しました。

中国での呼称

さいだん座は中国では「天坛座」と呼ばれています。これは、古代の天文学の知識が伝わってきた結果です。1738年に完成した星表では、さいだん座は二十八宿の星群の一部として扱われていました。特に、尾宿と箕宿に関連付けられ、特定の星群の名称が与えられました。

神話

さいだん座には、ゼウスとティーターン族との戦いの神話が背景にあります。クロノスとティーターン族が古い体制を打破することを誓った祭壇を象徴しているとされる一方、この神話は特定の文献に直接記載されていないため、エラトステネースの創作とも考えられています。このように、さいだん座はただの天体観測だけでなく、神話や文化の歴史とも深い関わりを持っています。

もう一度検索