さがのうた

「さがのうた」について

「さがのうた」は、日本の佐賀県佐賀市が1989年に制定した市民歌です。この歌は、作詞を溝上文雄が担当し、補作詞は河村健太郎が行い、作曲は山本愛子、編曲は富永みさをが手がけました。しかし、市民歌としては2005年に発表された合併により自動的に廃止されることとなりました。

背景

佐賀県では1936年に発表された「佐賀県民歌」や1973年に制定された現行の「佐賀県民の歌」が存在し、これらは県民の心を一つにまとめるためのものとして制作されてきました。また、1990年には「風はみらい色」、2000年には「栄の国から」といった複数の愛唱歌も発表され、県の文化構築への努力が続けられています。対照的に、県庁所在地である佐賀市は、市制施行から100年以上の間、市民歌を持たずにいました。このことは、佐賀市が全国で唯一、自治体の歌を持たない都道府県庁所在地になっていた背景を示しています。

市民歌の制定と発表

1988年、佐賀市では市制施行100周年を記念して市民の歌を公募することにしました。懸賞には県内外から153篇の歌詞が寄せられ、選考の結果、溝上文雄の作品が選ばれました。さらに、彼と作曲の山本愛子は祖父と孫という特別な関係にあり、このつながりが歌に対する地域への愛情をより深いものにしたと言われています。歌詞は河村健太郎により補作が行われ、音楽は富永みさをが編曲したことで、完成された形になりました。この「さがのうた」は1989年4月1日の市制100周年記念式典で初めて演奏され、永隈晋の歌でカセットテープにも収録されました。当日は市報にもその成果が記載され、市民歌の誕生を広く知らしめるものとなりました。

演奏実態の消失と廃止

しかし、21世紀に入る頃には「さがのうた」の演奏はほとんど行われなくなりました。2002年には佐賀市及び周辺地域の合併協議会が設置され、その中で市歌の扱いについても話し合われましたが、佐賀市は「さがのうた」の存在を無視し「該当なし」と回答しました。その結果、2005年の合併時も「さがのうた」は新設された佐賀市に引き継がれることはなく、自動的に廃止され、その歴史は消えてしまいました。

現在の状況

合併後も佐賀市議会では市に新しい市歌を定めるよう求める声が上がっていますが、市はなかなか積極的な対応を見せていません。特に平成の大合併では、他の市でも同様の状況が見られ、自治体歌を持たない都道府県庁所在地がいくつか存在しています。佐賀市と共に、富山市も1952年に制定された市民の歌が失効し、後継の市歌が定められていない状態が続いています。

結論

「さがのうた」は、佐賀市における市民の結束やアイデンティティを象徴するものとして制定された市民歌でしたが、合併によってその役割を果たすことなく失われてしまいました。この歴史は、歌が地域の文化にどのような影響を持つのか、またその維持がいかに重要であるかを考えさせるものです。現在、佐賀市は新しい市歌の制定に向けた動きを求められていますが、その結果は未だ見えていないのが現状です。

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