さぶ (小説)

小説『さぶ』の魅力と影響

『さぶ』は、山本周五郎が1963年に発表した時代小説で、江戸下町の表具店で働く二人の青年、栄二とさぶの物語です。この作品は、週刊朝日で連載された後、同年に新潮社から刊行され、その後も新潮文庫に収録されて、100万部以上の売上を誇るロングセラー作品となりました。

物語の舞台とテーマ

『さぶ』の物語は、江戸の下町、両国において描かれます。物語は、栄二が雨に泣いているさぶを見かけ、彼を慰めるところから始まります。二人は共同で経師屋、「芳古堂」に勤めながら、友情を育みます。しかし、栄二は無実の罪をかけられ、人間不信に陥ってしまい、さらに厳しい運命が待ち受けることになります。この物語は、青少年の無邪気さや仲間との絆、そして人間の信頼や葛藤を通じて描かれています。

書誌情報

『さぶ』は、1963年に新潮社のポケット・ライブラリから発刊され、その後も様々な形で再刊され続けています。1964年7月には『さぶ・彦左衛門外記』として山本周五郎全集に収められ、1965年には新潮文庫としての刊行も行われました。また、改版版や愛蔵版も出版され、これらの版の累計部数は現在も増加し続けています。

舞台や映像化

この物語は、数多くの舞台作品や映画化、テレビドラマ化もされています。1964年には、日活により映画化され、舞台の設定を明治初期に変更した作品が公開されました。1966年にはテレビドラマも放送され、その後も2002年や2020年に再度テレビドラマ化されました。特に2020年のドラマでは、杉野遥亮と森永悠希がダブル主演を務め、若い世代にも多くの支持を得ました。

舞台における作品の受容

1968年からは舞台としても積極的に上演されており、前進座や松竹などの劇団による上演が行われています。特に前進座の演出によるものは多くの観客を魅了し、1975年の初演以来、800回以上の公演を数えています。

まとめ

『さぶ』はその豊かな内容と魅力的なキャラクターによって、多くの人々に愛され続けている作品です。江戸時代の風情や、当時の人々の生活をリアルに描写しながら、友情や困難を乗り越える姿を通じて、普遍的なテーマを伝えています。これからもこの作品は、さらなる読者や観客に新たな感動を提供し続けることでしょう。

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