さらばラス・ヴェガス

「さらばラス・ヴェガス」（Leaving Las Vegas）は、シェリル・クロウが1993年に発表した楽曲です。この曲は、ジョン・オブライエンが1990年に発表した自伝的小説『Leaving Las Vegas』からタイトルが取られました。

オブライエンは、クロウのアルバム制作に参加したミュージシャンの一人、デヴィッド・ベアウォルドの親しい友人でした。作詞作曲のクレジットには、クロウの他、『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ』に関わったビル・ボットレル、デヴィッド・ベアウォルド、ケヴィン・ギルバート、デヴィッド・リケッツの4人が名を連ねています。ベアウォルドは、オブライエンがこの曲を気に入ってくれるだろうという思いを込めて作曲したと語っています。

「さらばラス・ヴェガス」は、クロウのデビューアルバム『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ』（1993年8月3日発売）に収録され、「ラン・ベイビー・ラン」「ホワット・アイ・キャン・ドゥ・フォー・ユー」に続くシングルとしてシングルカットされました。

クロウは1994年3月21日放送の『レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマン』に出演し、この曲を披露しました。このパフォーマンスがきっかけとなり、彼女の名は全米に知れ渡ることになります。同年5月21日付のビルボードHot 100では60位を記録し、同年4月4日にシングルカットされた「オール・アイ・ワナ・ドゥ」は最高2位に到達しました。

しかし、成功の裏には影もありました。レターマンの番組で、クロウは楽曲について「自伝的な曲なのか」と尋ねられた際、「そうなんです。実は」と答えたものの、共作者やタイトルの元になった小説の存在には触れませんでした。このことが、『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ』の楽曲を共作したデヴィッド・ベアウォルドをはじめとするミュージシャンたちの強い反感を買いました。

さらに、1994年4月10日には、アルコール依存症に苦しんでいたオブライエンが銃で自殺するという悲劇が起こります。ベアウォルドは『LA Weekly』に寄稿した文章の中で、オブライエンがアルバムに自分のクレジットを載せてもらうことを望んでいたと証言しました。オブライエンの遺族は、クロウの言動と自殺との関連性を否定しつつも、レターマンの番組出演後、オブライエンが動揺していたことを明かしています。

「さらばラス・ヴェガス」のミュージック・ビデオは1993年に制作され、4分27秒に編集されています。1994年にはシングルが再発され、ライブバージョンを収録した仕様のシングルも存在します。

1995年には、オブライエンの小説を原作とした映画『リービング・ラスベガス』が公開されました。主演のニコラス・ケイジは、翌年の第68回アカデミー賞と第53回ゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞しています。

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