オール・アイ・ワナ・ドゥ

シェリル・クロウ「オール・アイ・ワナ・ドゥ」：時代を超えた魅力

「オール・アイ・ワナ・ドゥ」（All I Wanna Do）は、アメリカのシンガーソングライター、シェリル・クロウが1993年に発表した楽曲で、彼女のデビューアルバム『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ』に収録されています。この曲は、1995年のグラミー賞で最優秀レコード賞と最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞し、最優秀楽曲賞にもノミネートされるなど、彼女のキャリアを代表する一曲となりました。

楽曲の背景と構造

この曲の歌詞は、アメリカの詩人ワイン・クーパーの詩「Fun」に基づいており、クロウのプロデューサーであるビル・ボットレルが古本屋で偶然見つけた詩集がきっかけで生まれました。クロウは「Fun」を自身の曲の歌詞として書き換え、その結果、詩集が再版され、クーパーに著作権使用料をもたらすこととなりました。オープニングのセリフ「This ain't no disco」は、トーキング・ヘッズの楽曲「ライフ」からの引用であり、ライブ演奏時には地域に合わせた歌詞に変更されるなど、ユーモアに富んだアレンジが加えられています。また、楽曲のアレンジは、スティーラーズ・ホイールの「スタック・イン・ザ・ミドル・ウィズ・ユー」（1972年）に影響を受けています。

ミュージック・ビデオ

ミュージック・ビデオは、クロウの最初のビデオ「さらばラス・ヴェガス」と同じくデビッド・ホーガンが監督を務めました。ビデオでは、クロウとバンドのメンバーが街中で演奏する様子が描かれ、著名人が空に浮かぶというユニークな演出が施されています。撮影はテネシー州のクラークスビルで行われました。ビデオには2つのバージョンが存在し、オリジナルのバージョンに出演していた俳優のグレッグ・スポーレダー扮するビリーが、編集後のバージョンでは削除されています。

チャート成績と影響

「オール・アイ・ワナ・ドゥ」は、ビルボード・ホット100で2位、アダルト・コンテンポラリ・チャートで1位を記録し、全英シングルチャートでも4位を獲得するなど、世界中で大ヒットしました。この曲の成功は、シェリル・クロウの音楽キャリアを確立する上で重要な役割を果たしました。

カバー・バージョン

「オール・アイ・ワナ・ドゥ」は、様々なアーティストによってカバーされています。イギリスの歌手エイミー・スタッドは、シェリル・クロウ本人からカバーを依頼され、2004年にシングルとしてリリースし、全英シングルチャートで21位を記録しました。また、アル・ヤンコビックは、アルバム『Bad Hair Day』に収録されているポルカ・メドレー「The Alternative Polka」の中でこの曲を演奏しています。

「オール・アイ・ワナ・ドゥ」は、そのユニークな歌詞、キャッチーなメロディー、そしてクロウの個性的な歌声が融合した、時代を超えて愛される名曲です。この曲は、シェリル・クロウの音楽キャリアにおける重要なターニングポイントとなり、彼女を世界的なアーティストへと押し上げました。

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