さらば復讐の狼たちよ

さらば復讐の狼たちよ：乱世中国を舞台にした痛快活劇

2010年、中国で公開された映画『さらば復讐の狼たちよ』（原題：譲子弾飛）は、チアン・ウェン監督・主演による歴史アクションコメディーです。公開当時、中国映画歴代興行収入No.1という記録を樹立し、その社会風刺的な描写や、豪華キャスト、重厚な映像美で大きな話題を呼びました。

ストーリー：悪党たちが織りなす、予測不能な抗争劇

舞台は1920年代、軍閥が割拠する中国。金で県知事の地位を買い取った詐欺師のマーは、赴任先の鵝城へ向かう途中、アバタのチャン率いる7人の覆面ギャングに襲われます。命からがら、チャンに鵝城の県知事になれば金もうけできると持ちかけ、彼らと共に鵝城へ乗り込みます。しかし、鵝城はすでに冷酷な地主、ホアンの支配下にありました。チャンの悪党ぶりもさることながら、ホアンの横暴さはそれを凌駕し、両者の対立は激化していきます。そして、チャンの舎弟がホアンによって自害に追い込まれたことで、ついに全面対決へと突入します。

キャスト：豪華俳優陣が織りなす、個性豊かなキャラクターたち

本作には、中国映画界を代表する豪華俳優陣が出演しています。チアン・ウェンが主人公のアバタのチャンを演じ、グォ・ヨウが詐欺師のマー、チョウ・ユンファが冷酷な地主ホアンを演じるなど、それぞれのキャラクターが強烈な個性で物語を彩ります。カリーナ・ラウ、チョウ・ユン、チェン・クンら、実力派俳優たちの熱演も見どころです。

チアン・ウェン：アバタのチャン（主人公）
グォ・ヨウ：マー（詐欺師）
チョウ・ユンファ：ホアン（地主）
カリーナ・ラウ：マーの夫人
チョウ・ユン：ホアジエ
チェン・クン：フー
* そしてその他多くの実力派俳優たち

見どころ：中国社会への痛烈な風刺と、見事なアクション

本作は、単なるアクション映画ではありません。中国革命史を彷彿とさせる描写を巧みに用いることで、当時の中国社会の腐敗や権力闘争を痛烈に風刺しています。その風刺の鋭さ、そしてテンポの良い展開、予測不能なストーリー展開は、観客を最後まで魅了します。また、迫力満点のアクションシーンも見どころの一つです。ニッキー・リー（李忠志）によるアクション設計は、見応え十分。

スタッフ：実力派スタッフ陣による、作品クオリティの高さを支える

監督のチアン・ウェンに加え、撮影監督のチャオ・フェイ、造形設計のウィリアム・チャン（張叔平）、音楽の久石譲とシュウ・ナンなど、実力派スタッフ陣が本作を支えています。彼らの高い技術と才能が、本作の世界観をより一層豊かにしています。脚本は、チョウ・スーチン、シュー・ピン、チアン・ウェン、グォ・ジュンリ、ウェイ・シャオ、リー・ブコンの複数名による共同作業で、複雑なストーリーを緻密に構築しています。

原作：馬識途の短編集を基にした、独自の解釈

本作は、馬識途の短編集『夜譚十記』の中の「盗官記」を原作としていますが、単なる原作の翻案ではなく、独自の解釈を加えた新たな作品となっています。原作の持つユーモラスな要素を活かしつつ、現代的な視点を取り入れることで、より深い意味を持つ作品に仕上がっています。

『さらば復讐の狼たちよ』は、豪華キャスト、重厚な映像、痛快なストーリー、そして社会風刺が絶妙に融合した、傑作中国映画と言えるでしょう。中国映画史に残る一作として、多くの観客を魅了し続けています。

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