チョウ・ユンファ

チョウ・ユンファ：アジア映画界の帝王

チョウ・ユンファ（周潤發、しゅうじゅんはつ）は、香港出身の国民的俳優であり、アジアを代表する映画スターです。185cmの長身と端正な顔立ち、そして圧倒的な演技力で数々の賞を受賞し、世界中から愛されています。

テレビドラマからの出発

1955年、香港の南丫島（ラマ島）に生まれたチョウ・ユンファは、高校卒業後、家電工場で働きながら生活の糧を得ていました。しかし、友人の勧めで1973年、香港のTVB演劇学校に入学。そこで俳優としての道を歩み始めます。呉孟達など、後のスター俳優たちと同期の仲間と共に研鑽を積んだ彼は、1974年からTVBのテレビドラマに出演し始めました。

1980年、TVB制作のドラマ『上海灘』での熱演が話題を呼び、一躍人気俳優の仲間入りを果たします。この作品は、彼の代表作の一つとして現在も高い人気を誇っています。1985年頃までTVBに所属しながら活躍を続け、その後は映画界へと活動の場を移していきます。

映画界での華々しい成功

映画界進出後、チョウ・ユンファは数々の作品で主演を務め、その演技力は高く評価されました。1984年、映画『風の輝く朝に』でアジア映画祭主演男優賞を受賞。そして、1986年公開の『男たちの挽歌』の大ヒットにより、アジアを代表するトップスターへと駆け上がります。この作品は第6回香港電影金像奨作品賞を受賞するなど、社会現象にもなりました。

1986年から1987年にかけては、主演作が17本にも及ぶという驚異的なペースで作品に出演。「チョウ・ユンファ黄金期」と呼ばれるほど、この時代は彼の全盛期でした。『男たちの挽歌』シリーズをはじめ、多くのヒット作を生み出し、香港映画界を牽引しました。その演技力は高く評価され、「アジア影帝」の異名を取り、アジア映画界の帝王的存在として君臨しました。愛称は「發仔（ファッチャイ）」で、日本では顔立ちから「香港の小林旭」とも呼ばれています。

香港電影金像奨では、『男たちの挽歌』（1987年）、『友は風の彼方に』（1988年）、『過ぎゆく時の中で』（1990年）で最優秀主演男優賞を受賞。台湾の金馬奨でも、『風の輝く朝に』（1985年）、『誰かがあなたを愛してる』（1987年）で最優秀主演男優賞を受賞するなど、数々の賞に輝きました。

国際派スターへの道

1990年代に入ると、B型肝炎の闘病生活を経て1996年から1997年にかけて活動を休止。しかし、1998年には『リプレイスメント・キラー』でハリウッドデビューを果たします。ハードボイルドな役柄からコミカルな役柄まで幅広くこなし、その演技力は高く評価され、ハリウッドでも活躍の場を広げていきました。

2000年の『グリーン・デスティニー』は北米で大きなヒットとなり、西欧圏での知名度も上昇。しかし、中国本土では広東語の発音について批判的な意見もありました。シンガポール人の妻と共に英語の勉強に励み、ジャッキー・チェンよりも流暢な英語を話すようになったと言われています。2000年代前半までは、ハリウッドでの活動に力を入れていました。

ジョン・ウー監督作品『レッドクリフ』への出演が発表されたものの、契約トラブルにより降板したこともありました。また、香港撮影学會と沙龍影友協會に所属するプロ写真家としての活動も行っており、2009年には写真展を開催するなど、多方面で才能を発揮しています。

庶民的な生活と社会貢献

国際的なスターとなった今でも、チョウ・ユンファは庶民的な生活を好み、バスやMTRを利用して移動し、街市で買い物をしたり、気軽に市民と交流する姿が見られています。TVBの取材に偶然遭遇した際、一般市民として答える様子が放送されたこともありました。莫大な資産を持っているにも関わらず、そのほとんどを社会に寄付すると公言するなど、社会貢献にも熱心です。

2014年の香港民主化デモでは、学生たちの勇気を称賛し、暴力鎮圧に反対する意思を示しました。2023年の釜山国際映画祭では「アジア映画印象」を受賞し、中国政府の映画検閲制度について言及、中国のネット上で賛否両論を巻き起こしました。

出演作品

チョウ・ユンファは、1980年代から数多くの映画やテレビドラマに出演し、その作品数は膨大です。代表作として『上海灘』『男たちの挽歌』シリーズ、『グリーン・デスティニー』など、彼のキャリアを象徴する名作が数多く存在します。また、『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド|パイレーツ・オブ・カリビアン_ワールド・エンド』などハリウッド作品への出演も経験しています。

結論

チョウ・ユンファは、類まれな演技力とスター性、そして庶民的な人柄で多くの人々を魅了し続けている稀代の俳優です。彼のキャリアは、アジア映画史に燦然と輝く、偉大な足跡として刻まれています。これからも、彼の活躍から目が離せません。

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