さるとらへび

さるとらへびの伝説

さるとらへび、またの名を猿虎蛇は、日本の伝説に登場する異色の生物です。この生物は、猿の頭部、虎の胴体、そして蛇の尾を持つと伝えられています。そのユニークな外見は、数多くの神話や伝承の中で語り継がれ、特に岐阜県の旧洞戸村（現在の関市）付近で有名です。

伝説の起源

この地域に根付いた「さるとらへび伝説」では、悪さを働く魔物として知られています。物語によると、高賀山に住むこの魔物を討伐するために、朝廷は藤原高光を派遣しました。高光は、さるとらへびが瓢箪に変身しているとの話を聞き、それを討ち取るために向かいました。彼が最初にさるとらへびの姿を見つけた場所は、現在の金峰神社が位置する地域であり、この地名が「形知」となった理由でもあります。このエピソードから、高光が最初に祈りを捧げた金峰神社が創建されたとされています。

高賀山における冒険

高光は、山岳での戦闘に不慣れな兵士たちと共に一緒に行動するため、まず高賀山大本神宮大行事神社（現・高賀神社）を再建し、地元の人々と共に妖怪退治の願いを祈るための特別な祈願を七昼夜実施しました。この祈りが奏功したのか、高光は夢の中で「瓢箪を射よ」との神託を受け取ります。

粥川の神秘

高賀山六社の一つである星宮神社の伝説も興味深いものです。藤原高光がこの地域に訪れた際、途中で道に迷ってしまいますが、天堂の神である善貴星が彼に粥を振る舞ったとのこと。また、川に住む鰻が正しい道を示してくれた結果、高光は無事にさるとらへびのもとへ辿り着けました。この出来事から当該の川は「粥川」と名付けられ、鰻の捕獲が禁止されることになったのです。1941年には、その生息地が国の天然記念物に指定されました。さらに、粥川中流域には、高光が用いた矢を納めたとされる「矢納ヶ渕」が存在します。

高光の奮闘

高光が高賀から乙狩谷に向かう途中、山全体が黒雲に覆われ進むことができなくなります。その際、彼が矢を黒雲の中に放ち、無事にその霧を消したことで滝にたどり着きました。この滝近くの洞窟がさるとらへびの住処であり、高光はこの場所で野宿し、滝の神々が妖怪を追い払う夢を見ることになりました。その夢に基づき、彼は滝のそばに祠を設けたことが瀧神社の起源と言われています。

高光は夢の指示に従い、ふくべヶ岳に至ると、山頂の沼の近くに生えていた特大の瓢箪を矢で射抜き、ついにさるとらへびを討伐しました。その他にも、菅谷では高光が草鞋を履き替えたとされる「草鞋が森」があり、また、高賀山の神が討伐のための矢を作るように命じたことから生まれた矢作神社もあります。矢作神社には、妖怪退治に使用された矢や木鉾、獅子頭などの宝物が安置されています。

このように、さるとらへびの伝説は、藤原高光の英勇や神秘的なエピソードを通じて日本の文化と歴史に深く根ざしています。

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