さんふらわあ しれとこ

さんふらわあ しれとこ：波乱に満ちた航海の歴史

概要

「さんふらわあ しれとこ」は、商船三井フェリーが運航するフェリーです。しかし、その歴史は、現在の姿になるまで幾多の転換点を経てきました。元々は九越フェリーが保有する「ニューれいんぼうべる」として2001年10月に室蘭～直江津～博多航路で就航しました。三菱重工業下関造船所で建造された同船は、その後、東日本フェリーを経て、2006年12月、商船三井フェリーの「さんふらわあ みと」および「さんふらわあ つくば」との船舶交換によって商船三井グループの傘下に入りました。翌2007年1月からは、苫小牧～大洗航路の深夜便に就航し、「さんふらわあ しれとこ」と改名されました。この船名は、商船三井フェリーの前身である日本沿海フェリーの「しれとこ丸」以来18年ぶりの復活となります。

2021年からは、商船三井と三井E&S造船が中心となって進める自動運航船の実証実験にも参加しました。2021年4月26日には大洗港で世界初となる大型船の自動離着岸を成功させ、2022年2月6～7日には苫小牧～大洗間で世界最長距離となる約750kmの自動運航を達成しました。これらの技術的な挑戦は、日本のフェリー業界における大きな進歩を示しています。

しかし、時代の流れは速く、「さんふらわあ しれとこ」の引退も迫っています。後継船となる「さんふらわあ かむい」と「さんふらわあ ぴりか」の就航に伴い、2025年にはその役目を終える予定です。長い航海の歴史に幕を閉じることになるでしょう。

設計

前身となった「ニューれいんぼうべる」とは異なり、「さんふらわあ しれとこ」は貨物輸送を重視した合理的な設計となっています。これは、時代の変化や市場の需要を反映した結果と言えるでしょう。

船内設備

船内には、様々な設備が備えられています。Aデッキには、かつてオーナーズルームと呼ばれた特等洋室（現在はデラックスルーム）、レストラン・軽食コーナー「レインボーホール」（商船三井時代は自販機による軽食提供のみ）、展望ラウンジ、展望浴場、ゲームコーナーなどが設置されています。Bデッキには、2等寝台のカジュアルルーム、ドライバー用の区画、案内所、浴室、娯楽室、そして新たにペットルームが設けられています。これらの設備は、乗客や乗員の快適性を追求した設計となっています。

事故・インシデント

「さんふらわあ しれとこ」も、その航海の過程において事故・インシデントに見舞われています。2014年2月8日には、苫小牧港で係船中に貨物船「第六芙蓉丸」と衝突する事故が発生しました。この事故では、「さんふらわあ しれとこ」の左舷船首部に凹損や擦過傷が発生し、「第六芙蓉丸」も船首部の損傷を受けました。事故原因は、「第六芙蓉丸」の左回頭時の確認不足とされました。

結語

「さんふらわあ しれとこ」は、その長い航海の歴史の中で、様々な変化を経験し、数々の記録を打ち立てました。自動運航技術の実証実験への参加は、日本のフェリー業界における技術革新を象徴する出来事と言えるでしょう。2025年の引退まで、その活躍を記録に残したいものです。

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