さんふらわあ むらさき

さんふらわあ むらさき：環境と快適性を両立した新時代のフェリー

2023年4月、大阪南港と別府港を結ぶ航路に、新たな旅客フェリー「さんふらわあ むらさき」が就航しました。本船は、商船三井フェリーの「さんふらわあ こばると」の後継として就航し、従来のフェリーにはない革新的な技術と快適な船内空間を提供しています。

環境負荷低減への取り組み

「さんふらわあ むらさき」最大の特長は、環境への配慮です。日本初のLNG（液化天然ガス）燃料の長距離フェリーとして、国土交通省の内航船省エネルギー格付制度で最高評価の5つ星を獲得しています。LNG燃料の使用により、硫黄酸化物の排出をゼロに抑え、二酸化炭素排出量も従来の船舶と比べて約20％削減することに成功しました。燃料の供給は、九州電力から調達したLNGを別府港でタンクローリーを使って行うシステムを採用しています。

環境への配慮は、燃料だけでなく船体の設計にも反映されています。商船三井の技術開発プロジェクト「船舶維新」で開発された環境負荷低減型フェリー案「ISHIN-II」をベースに設計されており、高い省エネルギー性能を実現しています。

充実の船内設備と快適な空間

「さんふらわあ むらさき」の船内は、フラックス・デザインの渡辺友之氏によるデザインです。「復活ときずな（KIZUNA）」をコンセプトに、世代を超えた家族が一緒に楽しめる空間づくりを目指しました。

従来の雑魚寝タイプの客室を廃止し、すべての客室でゆったりとした空間を確保しました。定員1人当たりの内装面積は、従来の6.9m²から10.9m²へと大幅に拡大。スイートやデラックスルームには、和室と洋室を組み合わせたコネクティングルームも用意されており、家族連れにも最適です。

また、共用スペースも大幅に拡大し、プロジェクションマッピングや別府の竹細工アートなどを配することで、エンターテイメント性も向上させています。快適な船旅を演出する、様々な工夫が凝らされています。

大きな船体と増加した貨物積載量

瀬戸内海での夜間航行を可能とする最大級の全長199.9mの船体により、貨物積載量は従来と比べて約50％増加しました。これは、ドライバー不足や労働時間規制への対応策として重要な要素となっています。

受賞歴

「さんふらわあ むらさき」は、その環境への取り組みやデザイン性が評価され、2023年10月には同型船「さんふらわあ くれない」と共にグッドデザイン賞を受賞しました。環境への配慮と快適性、そして最新の技術を融合させた、まさに次世代のフェリーと言えるでしょう。

まとめ

「さんふらわあ むらさき」は、環境への配慮と快適性を両立させた、画期的な旅客フェリーです。LNG燃料による環境負荷の低減、広々とした客室、充実したエンターテイメント設備など、多くの魅力が詰まった船旅が楽しめます。大阪と別府を結ぶ航路で、新たな船旅のスタイルを提供しています。

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