さんふらわあ2

さんふらわあ2：数奇な運命を辿ったフェリー物語

さんふらわあ2は、1972年5月28日、名古屋～高知～鹿児島航路に就航したフェリーです。川崎重工業神戸工場で建造され、当初は「さんらいず」と命名されていましたが、先に就航していた人気フェリー「さんふらわあ」にならって改名されました。同型船であるさんふらわあとの比較において、さんふらわあ2はドライバールームをベッド式にし、旅客定員を削減。また、煙突前部にガスタービン発電機を搭載したことで、若干太い煙突が特徴となりました。これは後にさんふらわあにも採用され、両船は外観上で共通点を持つようになりました。

しかし、1976年、親会社である照国海運の倒産により、さんふらわあ2は運航を停止。その後、さんふらわあと共に大洋フェリーに売却され、1977年3月からは大阪～苅田航路で活躍を続けます。

1979年6月には来島どっくで改装工事が行われ、船尾両舷のランプが撤去されました。その代わりに、屋外プールの屋根取り付けと温水プールへの改修、そして展望レストランシアターの増設など、旅客向けの設備が充実されました。

さらに、1984年には関西汽船に移籍、阪神～別府航路に就航しました。これは、さんふらわあと共に関西汽船のフェリー「しき丸」「フェリーこがね丸」との等価交換によるものだったといわれています。しかし、この関西汽船での就航期間も長くは続かず、1984年11月には来島どっくに売却されました。その後、関西汽船がチャータバックという形で運用を継続し、航路での活躍を続けました。

さんふらわあ2のフェリーとしての生涯は、1997年12月に幕を閉じます。「さんふらわあ あいぼり」の就航により引退することになったのです。当初は「さんふらわあ」の引退が予定されていましたが、台風による欠航の影響で、配船計画が変更され、さんふらわあ2が先に引退することとなりました。

引退後は、海外へ売却され、フィリピンで新たな航海を始めたと伝えられています。

環境モニタリングへの貢献

さんふらわあ2は、その長い運用期間中、国立環境研究所による東アジア海域海洋環境モニタリングプロジェクトに貢献しました。1994年から引退まで、海水をくみ上げてサンプリングを行うモニタリングシステムが搭載され、貴重な海洋データの収集に役立っていました。さんふらわあ2の引退後も、後継船である「あいぼり」が同プロジェクトを引き継ぎ、2005年まで観測が続けられました。

運航阻害事件

1997年6月13日、伊予灘西部を航行中に、主発電機2台の過回転による非常停止が発生しました。さらに、ガバナ調整軸の異常やバックアップのガスタービン発電機の不調も重なり、電力節減が不十分なまま主機が全て停止する事態に陥りました。幸い、引船2隻の支援により、別府港へ無事着岸することができました。この出来事は、さんふらわあ2の老朽化と、信頼性維持の課題を浮き彫りにする出来事となりました。

さんふらわあ2の物語は、日本のフェリーの歴史、そして海洋環境モニタリング技術の発展を象徴するものです。長きにわたる活躍と、数々の出来事を経て、その役目を終えたさんふらわあ2は、多くの人の記憶に刻まれています。

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