さんふらわあ7

さんふらわあ7：貨客船からクルーズ船へ、そして波乱に満ちた航海史

1973年6月、関西汽船は臼杵鉄工所で建造されたRORO貨客船『若潮丸』を、阪神―奄美―沖縄航路に投入しました。これは同社の沖縄航路向けRORO貨客船としては、『黒潮丸』に続く2隻目でした。しかし、1978年3月、『フェリーくろしお』就航による航路のフェリー化に伴い、『若潮丸』は係船となりました。

その後、新たな活路を見出すべく、クルーズ客船への改装が決定します。1978年末には海外就航も視野に入れ、「X丸構想委員会」が設立され、近海国際船級の取得、収容人数1000名、船床のベッド化、そして公室の充実（公室席数とベッド数の比率を1以上とする）という4つの目標が掲げられました。安全性と快適性を考慮し、最終的には内航時805名、外航時500名の定員で、1979年6月、改装工事が完了しました。

こうして生まれ変わった船は、『さんふらわあ7』と命名され、関西汽船で初めて「さんふらわあ」塗装が施されました。当初は国内クルーズに使用されましたが、同年12月には国際船級取得に向けた改装を行い、12月24日より海外クルーズにも進出。主にチャーター客船として、少年の船、青年の船、修学旅行、洋上セミナーなど、幅広い用途で利用されました。特に、1980年の四国創価学会所属メンバーによる横浜訪問や、1987年から1989年にかけて3回にわたるピースボートのクルーズなど、大規模な団体利用も数多くありました。

1991年、『さんふらわあ7』はギリシャのエピロティキラインに売却され、『アポロン（APOLLON）』として就航。クルーズ客船として活躍を続けますが、定員は500名に減少しました。その後、1995年にはミノアンラインズに売却され、『ミノアンプリンス（Minoan Prince）』と改名。2002年11月にはSEAFIGHTER NAFTIKI ETERIAに売却され、『ゴールデンプリンセス（Golden Prince）』となり、イラクリオン発着のミニクルーズで活躍しました。

しかし、2007年4月にピレウスの造船所でドックに入った後、安全基準の強化により、運航はサントリーニ島発着のワンデークルーズのみに制限されました。2011年以降はイラクリオンで係船された後、2014年4月、解体のためトルコへ売却され、長きにわたる航海の歴史に幕を閉じました。

さんふらわあ7の船内設備

『さんふらわあ7』時代、船内には様々な設備が備えられていました。ナビゲーションデッキ、サンデッキ、スポーツデッキなど、乗客がくつろげる空間が設けられ、AデッキからEデッキにかけては、2名室から8名室まで様々なタイプの客室が配置されていました。その中にはバス・トイレ付の客室も2室存在しましたが、貨客船からの改造船であるため、クルーズ客船としては設備が不足している部分も見られました。

レストラン「ローズ」、カフェテリア、ラウンジ、バー、ダンスフロアといった飲食・娯楽施設に加え、大浴場、ゲームコーナー、図書室、さらには和室（内航時は215名、外航時は160名収容可能で、見本市展示場としても使用）など、多様なニーズに対応できる設備が整っていました。さんふらわあホールは2層吹き抜けの大空間で、ステージや楽屋、ミキサールームも備え、様々なイベントが開催されました。

海外売却後、ランプウェイが撤去されデッキが延長されるなど、更なる改造が施されましたが、その歴史は、貨客船からクルーズ客船への変遷、そして国際的な活躍を経て、最終的に解体されるという、波乱に満ちた物語を物語っています。

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