しきしま型巡視船

海上保安庁の大型巡視船：しきしま型、あきつしま型、れいめい型

本稿では、海上保安庁を代表する大型巡視船である「しきしま」型、「あきつしま」型、そして「れいめい」型について解説します。これらの巡視船は、日本の海洋安全保障において重要な役割を担っており、その建造背景や能力、任務について詳しく見ていきましょう。

しきしま

1989年度の補正予算に基づき建造された「しきしま」(PLH-31)は、ヘリコプター2機搭載型巡視船として、当時世界最大規模を誇りました。プルトニウム輸送の護衛を主任務として設計されており、フランスから日本までの無寄港航海を可能とする長大な航続距離と、大型ヘリコプター2機の運用能力を備えています。建造当初の目的はプルトニウム輸送の護衛でしたが、実際には2回しか輸送が行われず、その後は多様な警備任務や大規模な救難活動に投入され、その高い能力を活かして活躍しています。2015年時点でも、中国海警局の船舶に次ぐ世界最大級の巡視船としてその存在感を示しています。

あきつしま

2010年度予算で建造された「あきつしま」(PLH-32)は、「しきしま」を参考に設計されたヘリコプター2機搭載型巡視船です。マラッカ海峡やソマリア沖の海賊対策、尖閣諸島周辺の警備強化、そして海洋権益の保護といった、新たな海洋情勢への対応を目的として建造されました。「しきしま」と基本設計は似ていますが、建造時期が異なるため、船級規格の変更や搭載機器の更新などが反映され、総トン数も増加しています。6500トン級の船体と、最新の装備により、長期にわたる遠洋活動能力を備えています。

れいめい型

尖閣諸島周辺海域における中国船舶の領海侵入問題への対応を強化するため、2016年度第2次補正予算では過去最大規模の予算が海上保安庁に配分されました。その結果、尖閣諸島警備体制の強化と、大規模な事案への同時対応能力向上を目的として、「あきつしま」を参考に設計されたヘリコプター搭載型巡視船の建造が決定されました。「れいめい」はその第一号艦です。「れいめい」は「あきつしま」とほぼ同規模の約6500トン級で、ヘリコプター2機搭載が可能です。しかし、定数としては1機搭載型として運用されています。その後、「あかつき」など同型船が建造され、日本の海洋警備能力向上に貢献しています。

各型の特徴と役割

これらの大型巡視船は、それぞれ異なる建造背景と目的を持ちながらも、日本の海洋安全保障に大きく貢献しています。今後、海洋環境の変化や新たな脅威への対応のため、更なる能力向上や新たな船舶の建造が期待されます。

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