航続距離

航続距離とは

航続距離（こうぞくきょり）とは、航空機、船舶、電気自動車などが最大量の燃料を積んで運航できる最大の距離を指します。本来、この用語は主に船舶や航空業界で使用されていましたが、1990年代後半より電気自動車の普及に伴い、自動車業界でも一般化しました。特に2010年以降は、電気自動車の充電による走行距離を表す重要な指標として広く認識されています。また、最近では電動スクーターや電動キックボードなど、多様な電動乗り物でもこの用語が使われるようになっています。

航空機における航続距離

航空機の航続距離は、対地速度と最大飛行時間を掛け合わせた値によって求められます。プロペラ機やジェット機の場合、航続距離を計算するための基本的な公式があります。

航続距離を求めるには、まず航空機が一定の時間で消費する燃料量を計算します。この燃料消費率から、特定の時間における航空機の重量の変化を導き、その変化を元に航続距離が計算されます。航空機の航続距離計算には「航続率」という概念もあり、これは単位燃料重量あたりの飛行距離を表しています。

プロペラ機

プロペラ機の場合、まずは水平飛行の状態での航空機の速度を求める必要があります。推進効率や燃料消費率は速度の関数となり、お互いの関係性を使って出力や燃料流量を求め、最終的に航続距離を計算します。特に、揚抗比を用いて水平飛行に必要な推力とそのために必要な出力を導き出し、その値を用いて航続距離を求めることができます。

ジェット機

ジェット機の航続距離は、推力と抗力の関係に基づいて計算されます。ジェットエンジンでは、燃料消費が推力に直接関係し、抗力が大きければ消費燃料も多くなります。航空機の運行が安定していると仮定した場合、航続距離を求めるための数式があり、この式を用いて一定の燃料消費率で長距離飛行の航続距離が解析的にも計算可能です。

マッハ数による航続距離

特に成層圏での長距離飛行では、音速を変えずに一定のマッハ数で運航することが求められるため、航続距離はさらに深く分析されます。これは、距離を求める際に、速度と燃料の関係を活かした計算が重要です。

船舶における航続距離

船舶においては、航続距離は大きな燃料タンクを装備した場合に特に注目されます。他の交通手段と比べ、船はその構造上、大量の燃料を搭載する余裕があり、低速で航行することで燃費が良く、航続距離が延びる傾向があります。特にタンカーなどでは、長期間の航海が可能です。

具体的には、20万重量トン級のタンカーであれば、約150トンの燃料消費で17,000海里を走行することができ、超大型タンカーは航続距離が40,000kmに達する場合もあります。

関連技術

航続距離は航空工学や船舶工学においても重要な概念であり、効率的な燃料消費を実現するための様々な技術が日進月歩で開発されています。改善された航空機設計やエンジン技術は、より効率的な運行を可能にし、航続距離の延長に寄与しています。

もう一度検索