しらせ (砕氷艦・2代)

南極観測船「しらせ」について

「しらせ」は、海上自衛隊が運用する南極観測船で、2009年に就役しました。この艦は、文部科学省国立極地研究所が南極地域での観測活動を支援するために設計され、観測隊の人員や物資を南極まで運ぶ重要な役割を果たしています。艦番号はAGB-5003であり、初代「しらせ」の後継艦として、多くの研究任務を遂行しています。

設計と機能

設計において「しらせ」は、先代の11,500トンから一回り大きい12,500トンの排水量を持ち、南極海での物資輸送能力を向上させています。貨物輸送量も1,000トンから1,100トンへと増加し、南極での活動においてより多くの人員と機器を支えられるようになりました。居住性を考慮した設計が施され、医師や歯科医が同乗する体制も保たれています。艦内には理容室があり、隊員たちは互いに髪を切り合うなどの工夫も見られます。

「しらせ」は独自のデザインの艦首を持ち、砕氷能力を高めるために特別な形状を採用しています。また、船首には散水装置が設置されており、砕氷を助けるための設備が充実しています。搭載するヘリコプターも高性能な機種が選ばれており、特にCH-101が2機搭載され、観測任務を円滑に行うための支援を行っています。

推進方式には、三井造船製のディーゼルエンジンに基づく電気推進を採用しており、最新の技術を活用しています。艦内には新型のヒーリング装置や耐摩耗性に優れた材料が用いられ、持続可能な運航が追求されています。また、環境保護の観点から、廃棄物処理システムが整備されており、観測基地で発生した廃棄物は帰路に持ち帰ることが義務付けられています。

艦歴

「しらせ」の初任務は2009年度の第51次南極地域観測航海で、東京晴海埠頭を出港し、翌年には南極の昭和基地に接岸しました。その後も数多くの観測任務を成功させ、特に物資輸送や観測支援において重要な役割を果たしています。最近の任務では、新型コロナウイルスの影響を受けてオーストラリアでの補給が制約される中でも、日本と南極の間の往復航海を続けています。

特に2021年度の観測航海では、約400トンの廃棄物を持ち帰り、地球環境の保護への貢献も果たしています。観測隊員も毎年新たに加わり、人数や任務内容も多様化しています。艦名は、南極地域に初めて足を踏み入れた白瀬矗に因んでおり、多くの国民からの応募を経て決定されました。

結論

南極観測船「しらせ」による活動は、ただ物資の輸送に留まらず、南極観測の重要な成果を支えており、日本の科学技術力を象徴する存在となっています。これからも厳しい環境の中で活躍し続けることでしょう。

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