排水量

排水量の概念と計算方法

排水量（はいすいりょう、英: displacement）は、主に艦艇の重量を示す指標であり、艦船の設計や運用において重要な役割を果たします。排水量は、トン数の一種とされ、特に「排水トン数」とも呼ばれています。ここで注意すべき点は、排水量はその他のトン数指標、たとえば載貨重量トン数（deadweight tonnage）とは異なる概念であるため、混同しないようにしましょう。

排水量の計算法

排水量は、船が水面に浮かんだときに押しのけられる水の重量であり、アルキメデスの原理をもとにしています。具体的には、船が浮かぶとき、その重量は押しのけられる水の重量と等しくなります。通常、完成した船を実際に計量するのではなく、設計図に基づいて海水の比重を考慮しながら、喫水線下の体積をもとに算出します。

排水量の計算は、まず正面線図を利用して各断面での計画吃水線下の面積を求めます。この面積データをプラニメータで解析した後、シンプソンの第1法則に基づき計算を行うことで、裸殻排水量（naked displacement）を得ます。更に、外板排水量（skin displacement）や付加物排水量（appendages displacement）を加えることで、全排水量を求めることができます。また、常備排水量に関しては、特定の公式を用いた近似計算が存在します。この計算方法によって、実際の排水量の95%から98%の精度で近似的な値が得られます。

排水量の種類

艦船の様々な状態に応じて、排水量には複数の種類があります。以下にその代表的なものを紹介します。

軽荷排水量

軽荷排水量（英: light displacement）は、燃料や弾薬などの消耗品を搭載していない状態の排水量を指します。この状態で航行すると復原性が低下するため、通常はバラストタンクにバラスト水を注入し、重心を下げる工夫が行われます。このバラスト水を補填軽荷排水量（ballasted light displacement）と呼びます。

基準排水量

基準排水量（英: standard displacement）は、艦艇が満載状態から燃料や予備水を除いた状態の排水量です。これは、時代や国によって定義が異なることがありますが、水上艦はワシントン海軍軍縮条約（1923年発効）、潜水艦はロンドン海軍軍縮条約（1930年発効）による基準が一般的に用いられています。戦闘能力を比較するために、燃料や水の重量を差し引いた状態での比較が求められているのです。

常備排水量

常備排水量（英: normal load displacement）は、乗員・弾薬は定数を、燃料や水などの消耗品は三分の二を搭載した状態の排水量です。これは、艦艇が目的地に到着したときの状態を想定しているため、戦場での運用に相応しい測定基準となります。

満載排水量

最後に、満載排水量（英: full load displacement）ですが、これは乗組員や弾薬、燃料、水など、設計上搭載可能な全てを含めた状態での排水量を指します。バラスト水は半量とするのが一般的で、最近の多くの海軍ではこの値が公式の諸元として掲載されています。

結論

このように、排水量は艦艇の設計や運用において欠かせない指標です。計算方法や種類の理解を深めることで、海洋活動や艦艇の性能をより良く把握できるでしょう。

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