しんせい (人工衛星)

しんせい（MS-F2）とは

しんせい（MS-F2）は、日本初の科学衛星であり、東京大学航空宇宙研究所が打ち上げた歴史的な宇宙開発のステップです。その名前は「新星」に由来し、開発・製造は日本電気が担いました。

背景と開発

日本が初の人工衛星「おおすみ」を1970年に打ち上げた後、科学観測に用いる衛星の計画が進行していました。1964年には、第一号科学衛星の観測項目を提案するためのシンポジウムが開催され、最終的に太陽電波、宇宙線、電離層の観測が目的として決定されました。実際の衛星開発は、前に打ち上げられたMS-F1の失敗を受けて、第2フライトモデルのMS-F2が急遽始まったため、この衛星は日本で初めての本格的な人工衛星と呼ぶことができます。

打ち上げと運用

1971年9月28日、しんせいは鹿児島宇宙空間観測所からM-4Sロケット3号機によって打ち上げられました。その際、近地点874km、遠地点1,871km、軌道傾斜角32度の軌道に投入されました。打ち上げ後、いくつかの機器は故障したものの、多くは正常に機能し続け、重要な科学データを収集しました。運用は1973年6月まで続けられました。

主な成果

しんせいから得られた科学的成果の中でも特に重要なものは、以下の2つです。

1. 太陽の短波帯電波の発生メカニズムの解明: これは、太陽活動の理解を深めるために重要な発見でした。
2. 南米上空での電離層異常および宇宙線異常の観察: これらの異常現象は、後の衛星「たいよう」などでさらに詳細に研究されました。

これらの成果は、今後の人工衛星開発に向けての重要なノウハウを提供し、科学的な観測技術の向上に寄与しました。

まとめ

しんせいは、日本の宇宙研究の礎を築いた衛星であり、その後の人工衛星開発にも大きな影響を与えました。今なおその成果は、宇宙観測の発展に寄与し続けています。宇宙科学の分野での挑戦を続ける日本の姿勢は、この衛星によって一層強固なものとなりました。

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