すずめのなみだ

『すずめのなみだ —県立葵崎高校麻雀部—』は、漫画家ひゅーがによる日本の4コマ漫画作品です。講談社発行の月刊漫画雑誌『月刊少年シリウス』において、2008年2月号から2010年9月号にかけて連載されました。各話は「第○局」とカウントされ、最終回は「最終局」と銘打たれています。

物語は、県立葵崎高校に通う女子高生、東乃すずめが主人公です。彼女は自身が想いを寄せる社会科教師の北見清一郎を追いかけ、彼が顧問を務める麻雀部への入部を決意します。しかし、麻雀部の部員たちは、顧問である北見も含めて非常に個性的で、一筋縄ではいかない面々ばかりでした。すずめは彼らと共に、次々と巻き起こる予測不能な騒動の中で高校生活を送ることになります。作品は麻雀部を舞台としていますが、麻雀そのものに深く関わる要素は少なく、部員たちの日常や人間関係を中心としたドタバタコメディーとして描かれています。

登場人物たちの名前は、東乃すずめ（東・雀）、南ちぃ（南・チー）、北見清一郎（北・清一色）、西原本蔵（西・ポン）、白鳥緑（白・緑一色）、二十日市一樹（發・一気通貫）、中村勘助（中・カン）、秋嶋つばめ（秋・ツバメ）、ドーラ・プリマヴェイラ（春・ドラ）、夏海天和（夏・天和）、冬馬四喜（名前由来不明）のように、麻雀用語に由来している点が特徴的です。物語の途中で登場人物たちは進級し、それに伴って学年も変化していきます。

主要な登場人物としては、北見への恋心からゲームセンターの脱衣麻雀で麻雀を覚え入部した主人公のすずめ。部内では比較的常識的なツッコミ役を務めますが、天然な一面や意外な体型も持ち合わせています。麻雀の実力者でクールかつ高飛車、自身を「姫」と呼ばせたがるドSな南ちぃ。麻雀部顧問で、表向きは爽やかですが実際は腹黒く女子高生好きな変態教師の北見清一郎。ツモる度に愛車が壊れる体質で、これまでに14台以上を廃車にしています。また、後に結婚していることも明らかになります。中学時代は「葵崎の鬼」と呼ばれた元不良のリーダーで、ドMかつロリ趣味という強烈な変態ながら、ちぃに深い愛情を抱いている西原本蔵（通称ポン）。お嬢様でありながら興奮すると方言が出る白鳥緑は、すずめと同じく北見に好意を寄せています。チョコレートで酔う特異体質や、ごぼう農家の娘でトラクター運転に長けているという一面もあります。この他にも、旅を続ける幽霊部員の二十日市一樹、すずめと緑の友人である姉御肌の伊関啓菜（名前は「関係ない」が由来）、麻雀も打て謎の地下室を持つマスコット的存在の犬（タイトルでは「孔明」）、後から入部する個性的な新入生たちなど、多彩なキャラクターが登場し、物語を彩ります。

本作は講談社〈シリウスKC〉より単行本が刊行されていますが、2010年1月現在で既刊2巻となっており、2010年1月号掲載の第三十二局までが収録されています。それ以降に掲載された第三十三局から最終局までのエピソードは、単行本には未収録となっています。第2巻には作者であるひゅーがのデビュー作『犬のお巡りさん。』も同時収録されています。

教師への片思いをきっかけに集まった、あまりにも規格外な面々が繰り広げる騒動が、この作品の大きな魅力と言えるでしょう。麻雀のルールを知らなくても楽しめる、個性的なキャラクターによる予測不能な学園コメディーです。

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