すずらん (フェリー・2代)

すずらんフェリーの概要

すずらんは、新日本海フェリーおよび東京九州フェリーが運航するフェリーです。この船の名前は、北海道を代表する花であるスズランに由来しています。設計されたすべての船名の中で「すずらん」にちなんだ船は、第1船のすずらん丸から数えれば、実に5代目になります。

建造の背景

このフェリーは、先代のすずらんとすいせんの代船として、三菱重工業長崎造船所にて建造されました。特筆すべきは、本船が香焼工場で建造された初のフェリーであり、また2隻の同時建造や進水命名式も初めて行われたことです。2012年の6月29日に新日本海フェリーに引き渡され、7月1日に敦賀～苫小牧東港航路で運航を開始しました。

すずらんは、2003年に建造されたはまなすおよびあかしあと類似した船で、全長や全幅は同じで推進器としてはCRPポッド推進が使われていますが、航海距離と所要時間のバランスを考慮し、航海速力は27.5ノットに設定されています。環境性能も強化されていて、先代船と比べて二酸化炭素の排出量を25パーセント、窒素酸化物の排出量を40パーセント削減しています。

航海能力と設備

さらに驚くべき点は、トラックの積載能力が30パーセント向上し、2等船室はすべて寝台化され、また新たに露天風呂も設置されるなど、旅客設備も大幅に改善されています。工期を短縮するために、船体ブロックは大型化され、設計の基になった船からブロック数を146から68に半減させています。

2020年のドック入りでは、SOxスクラバーが搭載され、ファンネルが大型のものに変更されるなどのリニューアルが行われ、胴体のロゴも東京九州フェリーの「Cruising Resort」に変更されました。

2022年の11月1日から2023年の5月6日まで、すずらんは姉妹船のすいせんとともに東京九州フェリーの「はまゆう」と「それいゆ」の代替として、新門司～横須賀航路での運航を行っています。

船体設計

すずらんの船体は「大自然に包まれるような開放感と落ち着き」をテーマにしたデザインコンセプトで設計されています。このため、乗客が快適に過ごせるよう工夫が施されています。

船室と内部設備

特に2等船室は、従来の大部屋を階段付きの2段寝台形式に変更し、その後の2023年には右舷和室部分を改装し、「ステートルーム・ウィズペット」3室を設けました。すべての室内は寝台式で統一されています。

船内の供食や物販設備も充実しています。5階にはグリルの「マルゴー」、レストラン「プロヴァンス」、カフェ「トリアーノ」及びドライバーズレストランがあり、4階にはショップや自販機コーナーがあります。また、入浴設備も多彩で、大浴場や露天風呂、サウナが用意されており、バリアフリー浴室も610にも設置されています。

さらに、プロムナードやフォワードサロン、オープンデッキなどのオープンスペースも多数設けられ、娯楽を楽しむためのコンファレンスルームやゲームコーナー、スポーツルームなども用意されており、幅広い楽しみを提供しています。

事故と救助活動

2015年8月31日、さんふらわあだいせつで発生した火災に際して、すずらんは救助活動にも参加しました。当時、苫小牧港南方沖で運航中のすずらんは、海上保安本部からの要請を受け、現場で停船して、他の船と協力して救助活動を行い、全員の退船を助けました。

このように、すずらんはその美しいデザインだけでなく、環境への配慮を十分に考慮し、船内設備も充実したフェリーとして、現在も多くの人々に利用され続けています。

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