すみれ (ゆずのアルバム)

ゆず 5thアルバム『すみれ』：前代未聞の4週連続シングルリリースと16曲の大ボリューム

2003年2月5日にリリースされたゆずの5枚目のオリジナルアルバム『すみれ』は、彼らの音楽史において重要な位置を占める作品です。最大の特徴は、2003年2月5日から4週連続でシングルをリリースするという、当時としては異例かつ大胆な試みが行われたことです。各シングルは500円均一、10万枚完全限定生産という販売方法も話題を呼びました。リーダー北川悠仁は、この試みについて「週刊誌を買うような感覚で買ってもらえたら」と語っています。

この4週連続リリースされたシングルA面4曲はすべて『すみれ』に収録されていますが、シングルに収録されたカップリング曲はアルバムには収録されていませんでした。これは『FURUSATO』まで続く、ゆずのアルバムにおける一つの特徴となります。また、シングル『青』と『呼吸』のシークレットトラック、『3番線』の両A面曲「水平線」はアルバムには収録されていません。

『すみれ』には、シングル曲に加え、新曲も多数収録されています。全16曲というオリジナルアルバムとしては最大規模のボリュームは、ゆずの音楽的幅広さを示しています。収録曲は、CMソングに起用された楽曲や、アニメ『ドラえもん』の主題歌・エンディングテーマとなった楽曲など、多様な楽曲が収録されています。

アルバム『すみれ』に収録されている楽曲の特徴をいくつか見ていきましょう。

「桜道3」: 先行シングル『呼吸』にシークレットトラックとして収録された「桜道」の別バージョンです。
「スミレ」: 4週連続リリースの最後の曲であり、三ツ矢サイダーのCMソングにも起用されました。作詞は北川悠仁と岩沢厚治の共作です。
「3番線」: 4週連続リリースの3週目の曲です。
「ふくろ」: 京急線の赤い電車をイメージした楽曲で、イントロには駅ホームで録音されたと思われる音が使用されています。歌詞には『ミスチル』のCDが登場しますが、これは『深海』を指しています。
「青」: 4週連続リリースの最初の曲です。
「運転技術の向上」: タイトル通りの内容の楽曲です。
「君は東京」: 歌詞に「新宿のアルタ前」が登場しますが、北川悠仁自身はアルタ前に行ったことがないと語っています。
「旅立ちのナンバー」: 家庭教師のトライのCMソングに起用されました。当初はシングル曲候補にも上がっていたようです。
「フラリ」: タイトルの通り、軽快な楽曲です。
「呼吸」: 4週連続リリースの2週目の曲です。
「桜道2」: タイトルからも分かるように、「桜道」シリーズの楽曲の一つです。
「言えずの♥アイ・ライク・ユー」: ゆずの楽曲の中でも異彩を放つポップな楽曲です。ライブでは独特の演出がなされることが多いです。
「カーテンのせい」: 岩沢厚治らしい、アコースティックでシンプルな楽曲です。
「ブザービーター」: バスケットボールの用語をタイトルに使用した楽曲です。
* 「またあえる日まで」: テレビアニメ『ドラえもん』のエンディングテーマ、劇場アニメ『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』主題歌として起用されました。

『すみれ』は、通常盤に加え、60ページを超えるフォトブック付きの初回限定盤も発売されました。さらに、アルバムリリースに連動した「体育館ツアー2003『すみれ』」が開催され、横浜アリーナ公演の模様を収録したライブDVD『ゆず LIVE FILMS すみれ』も発売されました。ファンクラブ会員限定のライブも開催されるなど、様々な企画が展開されました。

『すみれ』は、ゆずの音楽性の多様性と、彼らが常に新しい試みに挑戦し続ける姿勢を示した、重要な一枚と言えるでしょう。このアルバムは、ゆずのキャリアにおいて重要な転換期となったと言えるでしょう。このアルバムから、彼らの音楽における新たな展開が始まっていったのです。

もう一度検索