ずんだ

ずんだ：東北の恵み、緑のペースト

ずんだは、未成熟な大豆である枝豆をすり潰して作られる、鮮やかな緑色が特徴的なペーストです。「づんだ」「じんだ」「じんだん」「ヌタ」など、地域によって様々な呼び名で親しまれています。主に東北地方南部（宮城県・山形県・福島県）や、北東北の一部（秋田県・岩手県）、北関東（栃木県北西部）で郷土料理として用いられています。

伝統的には、甘いずんだ餅や、塩味の和え物として食されてきました。しかし近年では、その用途は広がりを見せ、和菓子だけでなく洋菓子にも利用されるようになり、「ずんだスイーツ」という新たなジャンルを確立しています。また、塩味のスナック菓子や料理にも応用され、その可能性は無限に広がっています。

ずんだの概要

ずんだの原料となる青ばた豆は夏に収穫されるため、ずんだは夏の季節料理、特にお盆のお供えとしてのイメージが定着しています。仙台では、七夕からお盆にかけてずんだ餅を販売する店が繁忙期を迎え、年間販売数の約半分をこの時期に売り上げます。

近年では、冷凍技術や加工技術の進歩により、一年を通してずんだを味わえるようになりました。2008年には、お湯を注ぐだけでずんだ餡に戻る粉末が開発され、真空条件下での枝豆ペーストやジャムの生産技術も確立されました。これらの技術革新は、ずんだ業界に大きな変革をもたらすと期待されています。

あずき餡や抹茶と同様に、和菓子だけでなく洋菓子にもずんだが用いられるようになり、仙台市では黒豆と竹炭を加えた黒色のずんだ餅も開発されています。これは、ずんだ独特の青臭さが苦手な人にも親しんでもらうための試みです。また、山形県の「だだちゃ豆」や宮城県の「仙台ちゃ豆」など、特産枝豆をずんだに使用することで、製品の差別化を図る動きも活発です。

ずんだを提供する餅店や和菓子店は、土産品開発にも力を入れています。2015年にはJR仙台駅にずんだ専門店を集めた「ずんだ小径」がオープンし、宮城県角田市では毎年「角田ずんだまつり」が開催されています。

名称と語源

ずんだの名称は地域によって異なり、旧仙台藩領域では「ずんだ」「づんだ」、山形県北村山地方では「ずんだん」、福島県や山形県庄内地方などでは「じんだ」、山形県村山地方や福島県会津地方では「ヌタ」などと呼ばれています。

語源については諸説ありますが、有力なのは、古くはぬか味噌や五斗味噌を意味する「糂汰（じんだ）」が転じたという説です。また、伊達家の料理を記した『料理集』には、青大豆に少量の砂糖を加えた餡を「ぢんた」と呼ぶ記述があり、これがずんだの原形ではないかという見方もあります。

ずんだの作り方

1. 枝豆（青ばた豆）を茹でる。
2. 豆をさやから取り出す。
3. 薄皮を取り除く。
4. すり鉢でペースト状になるまで潰す。
5. 砂糖と塩（または味噌）を加えて味を調える。

ずんだを用いた料理

甘味（ずんだスイーツ）

ずんだ餅
ずんだ団子
ずんだ大福
ずんだ饅頭
ずんだシェイク
ずんだアイスクリーム
ずんだロールケーキ

塩味

ずんだ和え
ずんだ汁
ずんだ煎餅
ずんだ笹かまぼこ
ずんだラーメン

キャラクター商品

ずんだは、様々なキャラクターのモチーフとしても利用されています。

東北ずん子、ずんだもん
ずんだキューピー
* ハローキティ 宮城 仙台ずんだもちバージョン

評価

ずんだは、河北新報のアンケートで好きな餅として最高の支持を集め、宮城県民が全国にアピールしたい食べ物としても1位に選ばれています。その独特の風味と多様な可能性は、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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