その場所に女ありて

映画『その場所に女ありて』

『その場所に女ありて』は、1962年に公開された日本映画で、製作は東宝によるものです。この映画は、当時の広告業界を舞台として、キャリアウーマンたちの姿を描写しています。上映時間は94分で、カラー・東宝スコープ形式で制作されています。

概要

本作の中心人物は27歳の矢田律子で、彼女は西銀広告の営業社員として働いています。物語は、律子が担当する難波製薬の新製品広告の受注を巡る競争から始まります。広告業界の中では様々な思惑が交錯し、ライバル会社の大通広告も受注争いに積極的に参入してきます。

律子はデザイナーの倉井から積極的にアプローチを受けるものの、彼女の目指すものは仕事であり、他者に惑わされることはありません。一方、大通広告のやり手坂井は、西銀のディレクター坪内を取り込んで、広告契約を勝ち取るためにしのぎを削ります。これに対して律子は坪内が裏切っていたことを知っても、冷静に対処し、感情を表に出さない姿が印象的です。

律子に加えて、物語には他の女性キャラクターも登場します。たとえば、久江はサイドビジネスとして金貸しを行い、またミツ子は売り上げを誤魔化して男性に貢ぐ行動をとります。これらの女性キャラクターを通じて、男社会の中でどのように女性がたくましく生きているのかが描かれています。彼女たちの生き様は、当時の社会状況を反映しつつ、女性の自立を促すメッセージも秘めています。

作品の背景と制作

この映画は、広告会社の内情を細やかにリサーチした結果として、リアルな業界の姿を映し出しています。監督は鈴木英夫で、脚本は升田商二と鈴木英夫が共同で手がけました。撮影には逢沢譲が担当し、音楽は池野成が作曲しています。

出演者の魅力

主演の矢田律子役には司葉子が起用されています。彼女の強い演技が、律子というキャラクターの魅力を引き立てています。他にも、ミツ子役の水野久美、久江役の原知佐子など多才な俳優陣が揃い、各キャラクターの個性を豊かに表現しています。

映画は、その後2022年5月にDVD化され、再び多くの観客に観られる機会を得ました。

同時上映

公開当時、この映画は『サラリーマン権三と助十』と同時上映され、観客に多様なエンターテイメントを提供しました。

『その場所に女ありて』は、ただのエンターテイメント作品に留まらず、女性の生き様や当時の社会背景を考えさせられる重要な映画です。そのメッセージ性と、業界に対する洞察は、今なお新しい視点を与え続けています。

もう一度検索