『その気にさせないで』 は、日本の人気アイドルグループ、キャンディーズが
1975年10月1日にリリースした通算5枚目のオリジナル
アルバムです。この作品は、それまでの
アルバムとは異なり、収録された楽曲がすべてオリジナル作品で構成されている点に大きな特徴があります。発売当時のLP帯には、「キャンディーズ・オリジナル・
アルバム! さらにステップ・アップを目指す意欲作。今またここにキャンディーズの新しい世界が開けていく・・・・・・」というメッセージが記されており、グループが新たな音楽的な挑戦へと踏み出した意気込みがうかがえる一枚となっています。
本作には、
アルバムタイトルにもなった先行
シングル曲「その気にさせないで」や、同じく
シングルとして発表された「どれがいいかしら」といったヒット曲が収録されています。これらの楽曲は、当時のキャンディーズの代表曲として広く知られています。
また、この
アルバムで特筆すべきは、メンバーの
藤村美樹が作詞に初挑戦した楽曲「二人のラブトレイン」が収録されていることです。この楽曲は、
藤村美樹の感性が光る歌詞と、ポップでありながらもどこか切ないメロディーが融合し、ファンからの支持も厚く、コンサートやテレビ番組などのステージでも頻繁に披露され、多くの人々に親しまれました。
アルバムの楽曲制作には、キャンディーズサウンドを支えた多くのクリエイターが参加しています。プロデューサー的な役割も担った
穂口雄右は、多くの楽曲で作曲と編曲を手がけ、本作の音楽的なカラーを決定づける重要な役割を果たしました。作詞家としては、千家和也や
竜真知子といった、当時の歌謡界を代表する作詞家たちが多数の詞を提供しています。作曲家としては、
加瀬邦彦や宮本光雄も参加し、楽曲のバリエーションを豊かにしています。編曲には、
穂口雄右のほか、
あかのたちおも名を連ねています。
オリジナル盤には、以下の12曲が収録されています。
1.
その気にさせないで
作詞:千家和也、作曲・編曲:
穂口雄右
2.
片想いの午後
作詞:
竜真知子、作曲・編曲:
穂口雄右
3.
バイ・バイ・センチメンタル
作詞:
竜真知子、作曲・編曲:
穂口雄右
4.
雨と涙とあのひとと
作詞:千家和也、作曲:
穂口雄右、編曲:
あかのたちお
5.
お元気ですか
作詞:千家和也、作曲:
加瀬邦彦、編曲:
穂口雄右
6.
どれがいいかしら
作詞:千家和也、作曲・編曲:
穂口雄右
7.
二人のラブトレイン
作詞:
藤村美樹、補作詞:
竜真知子、作曲:宮本光雄、編曲:
穂口雄右
8.
秋のスケッチ
作詞:
竜真知子、作曲・編曲:
穂口雄右
9.
あなたの悲しみ
作詞:千家和也、作曲:
加瀬邦彦、編曲:
穂口雄右
10.
恋の作戦
作詞:
竜真知子、作曲・編曲:
穂口雄右
11.
帰れない夜
作詞:
竜真知子、作曲・編曲:
穂口雄右
12.
一枚のガラス
作詞:千家和也、作曲:
穂口雄右、編曲:
あかのたちお
後年にリリースされた『キャンディーズ・タイムカプセル』盤など、CDでの再発時には、オリジナル楽曲に加え、「その気にさせないで」のオリジナル・
カラオケ(メロディー&コーラス入り、コーラス入り)がボーナストラックとして追加収録されることもありました。
『その気にさせないで』は、キャンディーズが単なるアイドルにとどまらず、アーティストとしてオリジナル楽曲を表現することに注力し始めた重要な節目を示す
アルバムであり、彼女たちの多様な音楽性と成長の軌跡を知る上で欠かせない作品と言えるでしょう。